7割くらいまで書いてたから乗っける。みのやつ。
「お前、どうしたんだ。」
「お前、どうしたんだ。」
自分でも分からない。朝起きたら、何故かこんなことになっていた。
お姉ちゃんの言葉を聞こえた通りに反唱する。というより、同じ言葉を言わずにはいられなくなっていた。挙げ句、自分から喋りたいことを言うことはできない。
どうしていいか分からず、姉を頼るも、なかなか察してくれず怪訝な表情をするばかり。ついには私は忙しいんだと、口を聞いてくれなくなった。
どうやら、遊んでいるのだと思ったのだろう。こんなに必死になっているのに気付いてくれないのは…やっぱり、大切にしてくれていない証拠だろうか。肩を落とし、ため息をつく。
そうだ、永遠亭に行けば何か分かるのではないか。そう思い立つと、姉の元を離れて、一人走り出した。
…まあ、自爆だと、思ったさ。
昔、あるところにエコーという少女がいました。
その少女はゼウスの浮気をゼウスの妻、ヘラからかくまいました。
が、怒ったヘラは、エコーに「相手の喋った言葉と同じ言葉しか繰り返すことができない」といった呪いをかけました。
「……」
永遠亭の場所が知らない以前に、私は方向音痴だった。自覚はあるんだけど…でも、今は頼れる人もいないし、これじゃあスペルカードの宣言もできないから、いざというときにとても困る。
それにしても、何かどこかで聞いたことあるような話な気がする。どこだったか忘れたけど、そんな少女が出てきた物語が何かあったような。
少し悩んでみたが、思い出せそうにない。ただ、あまりいい話では無かった気がする。
途方も無く、たださまよい歩く。小走りになりながら、自分の視界の隅に一人の少女の姿が映った。
「…っ!!」
そこに居たのは、秋穣子という幼い豊穣の神様だった。
彼女は自分よりほんのちょっと背が低くて、いつも明るく優しく接してくれる。私が心を許せた、数少ない友達の一人。
…友達と同時に、私は彼女に確かな恋心を抱いているのが事実。
彼女なら、もしかしたら。
そう思って走り出そうとした刹那、ふと、先ほど悩んでいた物語の一部分が、ふわりと脳内に舞い落ちた。
そうだ、さっきふと思い出しかけた物語は。
全貌じゃなくって、ちょっとだけ先のことだけど。
そうだ、私があの子だったら、その先は。
気がついたら、走り出してた。
穣子ちゃんのいる、全く反対の方向へ。
少女エコーはナルティトスという少年に恋をしました。
しかし、いざ会ってお話しようとしても、自分は彼の言葉を返すことしかできません。
故に、彼はつまらない人だと言い、そのまま去ってしまいました。
そんなエコーは悲しさのあまり、声だけの存在となってしまったといわれます。
気付かれなかったかな。
後ろを振り返ってみる。そこには誰の姿もない。
ほっと胸をなで下ろす。しかし、そのすぐのことだ。
「どうしたのさ。」
「っ!?ど、どうしたのさ!?」
あわてて更に振り返る。そこには、やってきてしまった彼女の姿があった。
不思議そうに、きょとんとした表情をしている。
「?いや、君の姿が見えたから…」
「いや、君の姿が見えたから…」
あぁやっぱり、同じことしか言えない。
これで、嫌われちゃったかな。
いや、嫌われるのならまだいい。そうだ、この物語の終わりは…
「……」
じぃっと、私の瞳をのぞき込む。ぎゅっと、胸の前で手を握った。
息が荒くなって、目から何かがこぼれ落ちる。止めようとしても止まらない。どうにもできない。
あぁ、これで。
これで私、は、君は。
「…私、君に出会ったらずっと言おうって思ってたんだ。」
「私、君に出会ったらずっと言おうって思ってたんだ。」
「私、君のことが、」
「私、君のことが、」
そこまで言って、満面の笑顔を見せて、こう言った。
「…誰よりも、どの人よりも大好きだよ!」
「!?だ、誰よりも、どの人よりも大好きだよ!?!?」
…は、今、なんて?
今、なんて言った?
だって、この物語は。
不本意ながら言っちゃった(いや、本意なんだけど)その言葉にもう赤面するしかなくなって、慌てて顔を隠すように俯く。表情は見えないが、そのすぐ後に、
「…ははっ、あっはははははははは!!なるほど、これは遊んでないねー!」
突然けらけらと笑い出す穣子。私はもう、何がなんだか分からなくなって、自分の口から発していることなど頭に全く入ってこなくなっていた。
「ごめんねー告白させちゃって。言っちゃったら悪いけど、八橋だったら絶対にいたずらでも告白なんかできる勇気ないだろうなーって思って。」
ここでボツ。なんか、もの凄く気に入らない。
因みに描写できなかったけど、これ続きでナルティトスが罰を食らって『湖面に映る自分の姿に惚れさせられる』ということに。そのまま湖に飛び込んで死ぬ(ナルシストの語源はここからとされてる)。
で、八橋は『自分が消える』ことではなく、穣子が『何かしらの理由で死ぬ』ことに怯えたというオチ。「君は、ナルティトスじゃなかったんだ」って言わせて終わらせる、つもりだったんだ。
けど。途中の展開がもっそ気に入らなくてやめた!ボツった!エターナった!!