※これはつらね、キバリ、犬の三人で行っているリレー小説です。
誰も私なんて見てくれなくて。
人間の部分しかあなた達は見ていなくて。
私なんて、居なくなったところで誰も…
…嫌だ。
忘れられたくない。一緒に居たい。皆私を見て。
でも忘れられる一緒に居られない皆人間の部分しか見ない誰も私を見ない誰も私を愛してくれない誰も気がついてくれない誰も存在なんてどうでもよくて気づかれるはずなんてなくて誰も嫌だ自分はここにいるのに誰も見ない忘れてどうでもよくて嫌悪を何も覚えなくてただあるだけの自分誰も誰も誰もダレモダレモダレモダレモダレモダレモ
嫌だ嫌だイヤダイヤダ嫌だいヤダ誰か誰かダれカきヅいて私のコトをワスれナいでわたシのことここにイルのニ皆ミんナみんナおねガいわたシを…
… ワタシ ハ … ダレ… ?
−『リレー小説そういえばタイトル決めてなかったね』−
「…肝試しの招待状だー?」
「はい…妹様と、魔理沙宛に届いております。差出人は不明ですが…」
夜が明けて間もなくの紅魔館の一室。そこにはフランと咲夜が対面して座っていた。
フランが地下に閉じこめられていたというのは過去の話で、今では普通に外に出て遊んだり、姉のレミリアと一緒に遊んだりしている。これも、あの白黒の魔法使いのお陰か…少なくとも、いい変化をもたらしてくれたのには違いない。
「…誰か、他のメイドが受け取ったものだと思われます。私は概要は知りませんが、妖精メイドが勝手に中を見て、私に妹様に渡してくださいと言ってきたので。」
「…ふーん…?」
色々気になることがあるが、とりあえずフランは咲夜から手紙を受け取ると中身を読んだ。
その手紙にはただ、今日の夜にフラン、魔理沙、紅妹、慧音、穣子、衣玖、この6人でそれぞれペアをくんで妖怪の山の、この地図にかかれている部分に肝試しをしにいけ。たったそれだけが書かれてあった。
地図はあまり良いものではなく、場所はどこを示しているか分かるが、どのような地形になっているかまでは書かれていない。恐らく、現地で自分達で確かめろということなのだろう。
「…魔理沙と一緒に肝試しかー…面白そうね!」
「一応他にも4人いらっしゃいますがね。」
この6人は意外と仲がよく、ときどき集まって談笑をする仲である。種族も強さも全く違うこの6人がどうして集まったのか。それは、ただ運命のいたずらとしかいいようがない。
フランが早速魔理沙にそのことを伝えに行こうとした刹那、その一室の扉が開かれ、三人のよく知った顔が現れた。
「よう、俺のところにも手紙来たぜ。」
「やっぱりフランのところにも来てたんだね。」
白黒の魔法使い、不老不死の蓬莱人形、歴史食いの半獣。魔理沙と妹紅と慧音だった。
三人とも同じ手紙を持っている。ということは、この場にはいない穣子と衣玖にも同じ手紙がいっているだろう。
そう思った刹那。
「あら、皆は直接届いたのねー。」
「っ!?」
どこからか声が聞こえる。声の主を探し、その中の一人が上を見上げた。
そこには穣子達とよく一緒にいる奇跡の神、早苗が居た。それも、天井に垂直立ちをして、腕を組んでいる。重力に逆らうというレベルではない。
「お前は吸血鬼か。」
「このくらい朝飯前よっ…と。あぁ、中身は全く一緒よ。読ませてもらったもの。」
そこから軽やかに床に降り立ち、手紙をちらつかせる。不参加…というより、お呼ばれしていないはずの早苗のところにどうして同じ手紙がいっているのか。
考えられることはたくさんあったが、最も有力なのは、下手に怪しまれて来ない、という事態を想定したからであろう。
「…で、結局。皆それに参加するの?」
「んー、フラン、お前はどうしたい?俺は面白そうって思ったが。」
「うん行きたい!魔理沙と一緒ならどこだって楽しいもん!」
相思相愛っぷりを見せつけられる。ただ、それは妹紅と慧音も同じで。
「…私はー…その…お、お化けとかは……で…」
「えー慧音一緒に行こうよー。大丈夫、絶対私が守るから!」
「…本当か?」
「うんっ、守ってみせる!」
「…妹紅…」
あぁ、穣子と衣玖さんが僻むのもよーく分かるわ…自分からしたらとても美味しいけれど、と、早苗は思わず苦笑する。このラブラブカップルの中に、未だに手すら繋げないあの二人がいると思うと、妬ましく思うのも道理である。激しく納得できた。
ただ、慧音の口振りから間違いないことがある。
「…もしかして先生さん、ビビッてんの?」
「な、ち、違うっ!お、おお、お化けなどっ!!」
「いやー強がらなくていいぜ?むしろそっちの方が可愛いし!」
「なっ…なぁっ!?」
魔理沙のからかいをモロに受け止める慧音。顔を真っ赤にして、口をパクパクさせている。
それに対してフランと妹紅は少し不満そうだ。好きな相手が自分の他の人を誉め、自分の好きな人が他の人に誉められる。
「…魔理沙は私のなのっ!」
「慧音を可愛いって言っていいのは私だけだ!」
そして始まる第一次俺嫁大戦。流石にこうなってくると、無関係な早苗はどうだってよくなってくる。
まぁ何というか…あの二人にはこの空気は無理。芋の甘さしか耐性が無いあの二人にとって、ここの空気はゲロ甘い。むしろよく耐えられるものだ、結構自分でもこれはキツいというのに…
そっと、早苗は合掌した。
「…困ったわね…慧音先生なら怪しいと思ってくれると思ったのだけれど…」
一つため息をついて、再びこの手紙を見つめた。
この差出人は、一つ大きなミスをやらかした。穣子に届けてしまっては、何か裏があると思って怪しまれる。だから、親友の早苗に『肝試しをやるそうだから参加して』と言わせて信憑性のあるものにしようとした。それが、早苗の推測だ。
しかし、それなら寅丸の方が適任であった。寅丸に『穣子と衣玖に肝試しの案内が来ている』と言わせるのが一番怪しまれない。
「…いや。あの人のことだから、これらすべて理解した上で、あたしにこう送ってきたのね。」
すでに早苗には、この手紙の差出人が誰か分かっていた。
それは、自分が寝ていて、それで気配に気づかないように手紙を置いて帰ることができる者。それも、一切部屋に入らずに。
早苗は人の気配には酷く敏感で、寝ていたところに誰かやってきても、すぐに起きて反応できる自信がある。
それなのに気がつかなかった。つまり、自ら入る必要が無い者。そして、聡明な者。
そうなれば、必然と答えは絞り込める。
(…紫、ね)
隙間からこの手紙を送りこんだとなれば、自分は気がつかない。また、自分達のことを知り、その上でこのような回りくどいことをして…
…何か、裏がある。さらに、それを自分達に解決させようとしている。
四人の方を改めて向きなおす。リア充争いはまだ続いていた。
「…援軍、頼んだ方がいいかもしれないわね。驚かす役とでも言って、数人巻き込みましょ。」
何か、ヤバいにおいがする。
彼女の勘は恐ろしいほどよく当たる。当たってほしくはないような勘でも当ててしまう。強ばった彼女の表情を見て、咲夜が話しかけた。
「…どうされました?」
「……」
咲夜の強さは確かなもの。冷静で物事も正しく判断できる。協力をしてもらうため、自分の感づいたことをすべて話した。
咲夜も少し違和感を覚えていたのか、すんなりとその話を受け入れる。首を縦に振り、それではそれぞれのグループから二人ずつ、『脅かす役』として派遣させる話に落ち着いた。
ただ、早苗は一人の方が動きやすいため、自分のところから誰も呼ばないことにした。レティあたりが居れば心強いかもしれないが、一人でないと不都合な理由もある。
「…それでは、また夜に。私は適任者を思いついたので、その方にお話をしてきます。」
そう言って席をはずす。早苗も動こうとしたが、唐突に四人衆から話が振られた。
「ねーえー早苗もそう思うでしょっ!?」
フランの大きな声。聞いていなかったのでとりあえず相づちをしておこう。そう思って言った一言は、
「そうね、みのりん可愛いわね。」
「ちがーうっ!」
安定の早苗だった。
文字数3212!次、キバりん続きよろしくっ!!
出だしホラーな感じを目指してみた!でもよく考えたらホラーなんて書いたことなかった!