ほんのり小話 6

※今回はシリアスです。
※レティさんがクリアさんです。
※まだ書かれてませんがレティ加入直後の話です。


藍「妖夢妖夢ってあの幽々子のとこに居たんだったな。」

妖「はい。まぁ少し色々あって今に至るわけなんですけどね。あ、家出とかそんなのではなく…」

藍「いや、家出なら私がやったことだ。」

妖「あ、そういえばそうでしたね。」

藍「…私は主に仕えることに飽きたわけではないのだが…もっと色々なことが知りたくて、もっと色々な知識を生かしたくてあそこを出た。お前は何か志とかあってここに来たのか?」

妖「そうですね…ほとんど幽々子様の挑発に乗ってきたようなものなんですけどね。でも、今は違う志があります。」

藍「ほぅ、というと?」

妖「私は皆を守る刀となりたいのです。皆と一緒にずっと笑っていれるように…」

藍「守る刀…か。ふふ、いい志だ。私も応援している。ただ、それで自己嫌悪にだけは陥るな。」

妖「…はい…?」

私はまだこのとき藍の言った意味が分からなかった。


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レ「ごめんなさい。どうしても街を案内して欲しいって言っちゃって。」

妖「いえいえ、むしろあなたから誘ってくれることが珍しいです。どうしても何となく距離があるので。」

レ「…距離、か。」

妖「あっ、ご、ごめんなさいっ。そんな嫌な意味じゃないんですよっ!私はレティがこのチームに入ってくれたことがすごく嬉しくて――…」

レ「いいのよ、気にしてない。…むしろ距離を開けているのは私のほうだから…」

妖「…やはり、居づらいですか?」

レ「そんなことないわ。…ただ、まだ…」

妖「…無理しなくていいですよ。私でよければいつでも付き合います。ゆっくりと…ね?」

レ「うん…ありがとう。…雪女ってどうしても独りでいる人が多いから気難しい人が多いの。」

妖「そうですか?私はそうでもないと思いますけど。私から見たら普通の人と変わりませんよ。」

レ「妖夢…」

  「お、いいカモ見っけ!」

妖「――っ!?」

 「おいおい、そんな身構えんなよ!ただ俺達はお前らの持ってる金にしか興味ねぇからよぉ!」

妖「そう簡単に渡すと思いますか?」

 「あぁ、思うな!」

妖「一対ニで強気にならないで下さい!数ではこちらの方が――」

 「果たしてそうか?もう一人のほうに気を配ったらどうだ?」

レ「…ぁ…妖…夢…」

わき腹を切られ、血は止まることを知らない。前方にはもう一人…恐らく、後ろからの不意打ちだ。

妖「レティっ!…逃げて下さい!!」

レ「…大丈…夫…『フラワーウィザラウェイ』!」

 「なっ、こいつ、魔法が――」

レ「…ごめんなさい…しばらく黙ってて頂戴ね…」

妖「すごい…一気に二人を氷付けに…じゃなくて、早く手当てを!」

レ「…『癒心の法』。
  …これで大丈夫。ほら、出血も止まったでしょ?」

妖「…レティ……すみませんでしたっ!!」

レ「な、何、急に?」

妖「私…全然守れなかった…藍に私は仲間を守る刀になりたいなんて言っておきながら…!」

レ「…そんなこと。守ってくれたじゃない。」

妖「そんな…そんなこと…!!」

レ「多分ね、私一人だったら詠唱に間に合ってなかった。それにね、私嬉しかった。あんな状況で私に逃げるように言ってくれたのが。こんな私のことを気遣ってくれたことが。」

妖「こんなって…当たり前じゃないですか!大切な仲間なんですから!」

レ「…私…やっぱり行き急いでた。まだ独りだって思ってた…馴れ合うことなんて出来ないって。でも、妖夢は私のことをちゃんと想ってくれてた。馬鹿ね、気付けなかったなんて。」

妖「…レティ。」

レ「…今日はありがとう、妖夢。そして、これからもよろしくね。」

妖「…こちらこそ。」


今度は必ず守れるように――…







幽「すごい「ありがとう」と「ごめんなさい」の連呼。」

藍「おい、空気ぶち壊すなよ。」