姉と小説のお題を出し合って書いたものです。お題が『オムライス』だったので。
「・・・・・・」
屠自古は最近悩んでいた。
あの犬得に対抗するために、反対勢力としてグループ化した私たち。屠自古、娘々、さとり、こいし、ルナサ、衣玖というはたまたカオスは人材がそろった。
それはいい。問題は一つ。
「・・・私たちの中で料理が出きる奴は果たしているのかっ!?」
「あ、屠自古さんついに頭のネジがぬけ落ちてしまいましたか。」
苦悶している屠自古にさとりの冷ややかな視線。表情はあからさまに『コイツ無いわぁ・・・』と言いたげだ。ていうか言ってる。
「私は至って普通だ。ほら、いざ料理を頼んであのアリスみたいなものが出来たらどうする。」
アリスの料理は幻想郷でも天狗の新聞でも話題になる。普段通りの彼女ならば普通に美味しい物を作るし、見た目だって至って普通。
しかし。たまに異様なまでにうっかり症になることがあるらしく。そうなったときの彼女の手料理はとても食えたものではない、と幽香から耳が痛くなるほど聞かされた。
「屠自古、流石にそれは無いわ。あのうっかリスの手料理は最早伝説よ?おにぎり一つ作って、四角く固められたナゾの酢飯が出来上がるのだから。」
「確信犯でしょうそれは。」
娘々とさとりは見たこともない(原理的な意味で)料理を想像する。やはり二人とも首を傾げることしかできない。
「・・・よしっ、じゃあこの際誰が料理出来るのかはっきりさせようっ!」
「・・・・・・」
・・・さとりさぁん、そんな冷ややかな目で見ないでください泣いちゃいますよ。
「あ、それ面白そう!いいわねっ、やろやろっ!」
「・・・屠自古の手料理が食べられるからですk
「よしっ、皆呼んでくるわっ!」
やけにノリ気だな娘々は。普段ベタベタくっついてきて鬱陶しい奴だが、こういう時はとても素直で頼りになる。
「・・・で、一体何を作るのですか?」
「ふ・・・決まっているだろう、シンプルな用に見えて実は結構難しい・・・オムライスでっ!」
「・・・おむらいす?・・・ですか?」
聞いたことがない、と首を傾げる。
大丈夫だ私も知らない。
「ふむ・・・オムライスですか。」
「おっ、えぇっ!?衣玖、居たのか!?」
「空気を読んで解説にやって参りました。オムライスとは和製語の一つ、炒めてトマトケチャップなどで味付けした飯を、薄焼き卵で包んだ日本独特の料理です。すでに幻想郷でもそのレシピが公開されています。」
流石藍と比べても劣るところを見せない博学さ。あのドM天人に使えることだけはある。
「ただいまー戻ったよ。」
「あら、お帰りなさい、早かったですね。では、お戻りになられたところで調理開始と
しますか。では味見は屠自古さんが。」
「・・・何故に私?」
「一番お体が丈夫故。」
「何だそれは私に死ねってかっ!私危ない料理食べたくないんですぅ〜って逃げかっ!」
衣玖の胸ぐらを掴んで放り投げてやりたい気持ちでいっぱいだが、どうせひょいと避けられるのがオチなのでグッと我慢。
そんな私の態度に追い打ちをかけるかのように衣玖は仁王立ちで私を見下し、
「えぇそうですよ?どうして私がそのようなおぞまいしい食べ物を食べなくてはいけないのですか?大体提案者はあなたです。だから責任もって食べなさい。」
・・・こういう人を絶対強人っていうんだろうな・・・
・
・
それからどうした。
「衣玖は天界へ帰っていきました。」
「とことん自己中だ。」
とりあえず全員作り終えたらしい。いよいよ私の死期が近づいてきた、いや、すでに死んでいるか。
正直、娘々とさとりはまともなのを作ってくるだろう。娘々は一番器用だし、さとりはあれでも一番のまともキャラだ。
問題はこいしとルナサ。こいしは無意識で料理を作って来るし、ルナサはかなりの臆病者。絶対火が怖いとかって卵かけご飯(卵を割るのはセルフサービス)になりそうだ。
さて、と。
「じゃあ一番っ、娘々のをどうぞっ!」
そういって娘々は嬉しそうに私の元へオムライスを持ってくる。
「屠自古の手料理が食べれないのは残念だけど、でも私の手料理を食べてくれるのならそれだけで昇天しそうn
「形はいいな。後は中身がどうなっているか。」
適当に流して中身を口に入れる。
そして即行にツッコむ。
「・・・おい。」
「なぁに?」
「・・・ご飯のごの字も無いが?」
「え、ご飯入れるの?」
「入れなかったらオムレツだろうがっ!!」
ダメだった。美味しいけれど人の話を聞いていなかった。
「じゃあそのノリで私のやつもお願いします。」
横からさとりがわって入る。やっぱり形には問題無い。
「・・・真面目に作っただろうな。」
「作りました。あなたじゃあるまいし。」
「・・・ねぇ、何で私こんな嫌われてるの?」
「さあ?」
惨めに思いつつ、何となーく嫌な予感がするオムライス?を口に運ぶ。
大体そう予感って必中するわけで。
「・・・お前は何を入れた?」
「え、あぁ。『ケチャップ』というものがよく分からなかったので代用品を。」
「・・・で、何を入れた?」
「トマトそのまま、です。季節外なのでまだ緑色ですが。」
うん、成る程。道理で青臭い訳だ。
「あーそうかそうか成る程ってアホかっ!何で食べられないって分かっててそういうもの入れてくるのっ!?そんなに私をいじめて楽しいか!?」
「屠自古さん、好き嫌いはよくないです。」
「じゃあお前はこれ食えるのか?」
「絶対嫌です。」
「ほぅらっ!!」
バカだった、この人を信じてた私がバカだった。
「とりあえず分かった私たちの中には衣玖ぐらいしか料理が出来ない!あの人のは実際食べたことあるから分かる!」
「えー、あたし達の作ったオムライスはー?」
「こいしのやつなんて卵の殻があからさま突き刺さっているだろっ!」
「えっとね、無意識に作ったらこうなった。」
「帰れっ!!」
・・・とりあえず。自分の身を守るためにも料理は自分でするべきだ。でないといつ殺されるか分かったもんじゃない。
今回の一件でそのことがよぉく分かった。
「あら、ルナサ、あなたは屠自古に渡さなかったの?」
「あっ、い、衣玖さん・・・はい、その・・・食べてもらえなかったので・・・自信作だったのですが・・・」
「ふぅん。じゃあそれ私が貰っていいかしら?」
「え、で、でも・・・はい、では・・・」
「・・・あら、美味しい。あなたこんな特技があったのね。」
「そ、そんな・・・ほめても何もでませんよっ。それに・・・衣玖さんが作った方が・・・絶対美味しいですよ・・・」
「残念、そうでも無いわ。私魚料理以外まるでダメで。すぐに消し炭へと化しちゃうのよ。ねぇ、よかったら教えてくれない?」
「えっ、わ、私の料理なんかでいいのですか?」
「えぇ、あなただからいいのよ。」
「・・・では・・・喜んでっ・・・」
あの後、こっそりリア充な展開が行われていたのはまた別のお話。
衣玖さんはルナサにだけ女性口調になればいいよ。
コメ返。いつものようにドラッグで。
>みいちゃん
うん、犬得面子…っていうか、犬がキャラを考えるとなんか異常なキャラが生まれるんだよね。
こいしちゃんは一人称が最初『あたし』だったけど、微妙に違和感感じたからボクっ子。だって大好きなボクっ子が一人も居ないs((殴
てか…裏勢力こんなカオスで受け入れられるのかw
どうして衣玖ルナとかナゾCPになりかけているのか。