妖「裏6人+アルファです。いや、実際衣玖さんとルナサしか出てこないです。」
穣「ねぇ、思ったんだけどさ、ルナサって幽霊なんだよね?実体あるの?」
あぁ、そういえば。でもさ、実体無かったらさぁ…
あるところに一人の少女がいました。
その少女は見た目は普通の人間でしたが、騒霊という種族の為、体を持っていませんでした。
人に姿が見えても、触れること、触れられることは出来ませんでした。
あるところに美しい衣を纏った一人の女がいました。
その女は地震が起こることを人々に伝える妖怪でした。
人々を助けたい、けれども人々からは『厄病神』と言われ、嫌われ、石や塵(ごみ)を投げつけられ続けていました。
少女は人に愛されることは出来ました。
しかし、触れることが出来ない、自分のぬくもりを相手に伝えることが出来ない。
少女は人を愛することが出来ませんでした。
女は人を愛することは出来ました。
しかし、人に嫌われ、やがて愛される、その感情を忘れ、人から受ける感情に恐怖を覚えるようになってしまいました。
女は人に愛されることが出来ませんでした。
少女は嘆きました。
どうして自分には体が無いのか。
体があれば女を救うことが出来るかもしれないのに。
自分の思いを伝えたい。
けれどもそれが出来ない。
少女はただ、虚空に向かって泣きじゃくることしか出来ませんでした。
女は隠しました。
自分が疫病神であることを。
伝えると、また独りになると思いました。
女は懸命に振る舞い、自分の弱さを隠しました。
けれども臆病な心はどうしても隠せない。
女はただ、誰も居ない部屋で声を出さずに泣くことしか出来ませんでした。
少女は知っていました。
その女が疫病神と言われていることを。
けれども、それでも少女はその女が大好きでした。
何故なら、自分と似ていて、反対だったからです。
人から愛され、人を愛することが出来ない騒霊と、
人を愛し、人から愛されることが出来ない妖怪と。
女は気が付きませんでした。
確かに、少女から愛されていることを。
女は実際、その感情から逃げていました。
怖かった、ただ、それだけ。
本心はとても嬉しかったはずなのに。
女は素直になれない自分がとても嫌いでした。
「ごめんね…ごめん…ね…」
少女の泣きじゃくる声。これは何度目だっただろうか。
女は自分が居るからだと思っていました。
自分が嫌われ者だから。
けれど、それは違いました。
「…体が無いから…貴方に…本当のぬくもりを…教えることが出来ない…」
ようやく気が付きました。
確かに泣いているのは自分の為。
けれども、自分が嫌われ者だからではない。
自分が、少女の存在を心の中で否定し続けたから。
「…ごめんなさい…」
女も謝りました。
「…今まで、貴方の存在を否定していて…」
女はすり抜けないように、触れない体をそっと抱いて、
「…ようやく…気が付きました。私はただ、貴方が傍に居てくれなくなる、そう思っていました。
それが、貴方の存在を否定していました。
けれども、分かりました。
たとえ、貴方に体が無かったとしても、
私には、貴方の存在が必要だということを。」
少女は女を愛することが出来ました。
女は少女から愛されることが出来ました。
今までどうしても出来なかった、
自分の想いを伝えることが――…
一発ネタじゃねーか。
いや、書きにくいってこれから。やっぱ実体持ってて。