妖「もしもって言うか、私達が必ず迎える話ですね。…それもIF物語になるんですか?」
IFの中にWILL的な意味無かった?
妖「私は英語が分かりませんっ!」
※小話22話読んでないと話分かんないです。
「早いわねぇ、もう最後の一人が寿命を迎えて…あたし達だけになっちゃったわね。」
「早苗…」
穣子の表情が暗い。いつもの悪巧みをしているような笑みは何処にも無い。
「何そんな暗い顔してるのよ。いずれ訪れる末路じゃない。」
「…ごめん。」
出てきたのは謝罪の言葉。思いもよらず、早苗は目を丸くする。相変わらず俯き、顔をあげようとしない。
「あたしが…あたしが早苗の運命を変えたから。あたしが、早苗を死ねなくしたから…本当なら、今残っているのはあたしだけなのに…」
「…なんだ、そんなこと。」
「そんなことって…!」
穣子は幼いながらよく知っていた。死ぬことの出来ない辛さを。
死ねない、それは時が流れないと同じ。
仲間は、友達はみんな老いていくのに、一人だけぽつんと取り残される。
みんなと関わった時点で、穣子にはいずれ、一人そうなる覚悟があった。
けれど。
「…早苗は怖くないの!?自分は死ぬはずの定めにあったのに…それをゆがめて、死ねなくなって…人間じゃなくなった自分が怖くないの…!?」
人間は妖怪よりも何倍も短命。
それはまるで妖怪にとって、人間がホタルを見て短命だと思うくらいだ。
短命である故、己の定めに背き、永遠の命を願うものが後を絶たない。
しかし、それは気が付いていないだけで、
とても馬鹿げた、後悔しかない願いなのだ。
「…怖くない、って言ったら嘘になるわ。多少の後悔は勿論ある。」
「だったら…」
「けれど、あたしはあんたを置いていくことなんて出来ないわ。…あの時、『決めるのは早苗自身だ』って言ったわよね。戻ってこないって思った?」
「…早苗なら、戻ってくるって思った。でも、同時にとても恐ろしいことをやっているってことにも気が付いた。…気が付いたら、嫌でも自分を責めるしかなくなるじゃんか…!」
死ねない辛さ、それは人間には分からない。
同時に、生まれながらにしてほぼ無限の生命である神にもそれは分からない。
けれど、互いが関わって気が付いてしまった。
永遠の命がどれだけ辛く、終わりの無い悪夢であるかを。
「…多少の後悔はある。けれど、きっと、あそこで戻らなかったら、あたしは冥界で一生…はおかしいわね。でも、穣子が一人だっていうことを知ったら、多分一番後悔する。あの幼い神様を一人にしたことを。…それが定めだって分かっていても。」
「…君は優しすぎる。だから、自分を犠牲にして、他人に尽くそうとする。どうして、そこまで出来るの?」
「どうして、ね。…あたしの信条、だから。…それじゃ、足りない?」
手を出してはいけない禁忌に触れ、それでも早苗は笑う。
悪夢に負けない、強い笑みを。
「…馬鹿だよ、君は…」
「馬鹿で結構。何よ、そしたらあんたは一人になりたかったわけ?」
「それが定めだから!定めに背くことほど…残虐なことはないんだよ…!」
豊穣の神は、輪廻の定めを強く信じる。
それはまるで、同時に運命をもつかさどるかのごとく。
そんな力は無いとしても、どこかそう思わせる節がある。
「…そんな定めに囚われて、自分が一番どうしたいか、それを見失うことはしたくなかったわ。あたしは、あんたとずっと一緒に居たい。今なら分かる、たとえ定めに背いても、自分の本当に居るべきでない、自分が居たいって思う場所じゃなかったら、そんな居場所なんかいらない。あくまでもあたしは、あんたと一緒に居たい。」
「…輪廻転生したら、また会える…会えたのに…」
「そんなに待たせるわけにはいかないでしょ?出会って、別れての繰り返しじゃ、別れのときの寂しさをいつも感じることになる。…それはちょっと、悲しいんじゃない?」
「……」
何度聞いても、答えは一緒だった。
「あたしの居場所は、あんたの隣にしかない。だから、あんたがここに縛られてるのなら、あたしも一緒に縛られる。一人じゃ嬉しくても笑い合えない。寂しくても泣き合えない。…二人で、ずっと一緒に生きましょ?互いのスキマを埋め合わせながら。」
「…後悔、してないんだね、本当に…」
「何回も言ったと思うけれど、一番しない道をたどった。…忘れたら何度でも言ってあげる、あたしの一番の場所はここだって。」
定めを歪めても、禁忌に触れても、その神は強く笑える。
「…そう。なら、もう聞かない、もう…ずっと離さないんだから。後悔したって…もう…絶対…に…」
それは、何故か。
「…えぇ、あたしだって…絶対に離さないわ。」
あたしは、あなたが好きだから、誰よりも、どの人よりも
結論:恋愛もの見てる感じがした。
最後の穣子のセリフ、気付いた人も多いと思いますが、彼女泣いています。多分始めて泣いた。
あともしよろしければコメント下さい!この話アリなのか切実に気になったんだ…!!