IF物語9 『もしも穣子が病んだら』

※衣玖みのでお送りします。
※本気で見るのをオススメしません(だから土曜日更新)。





私はいきなり穣子に呼び出された。

最近の彼女の様子はおかしい。

いつもにこにこと笑っていたのに、このごろはその笑顔がまるで、狂ったかのように見えることがある。

今まで彼女の思考回路が読めなかったことは多度あった。しかし、今振り返ってみれば、それはいい意味で読めなかったのかもしれない。

今の彼女は、本当に分からない。

何かが、変わってしまった。



「…穣子、どうしました?」

一人が使うにしては少し広すぎる部屋。何かの実験をしているのか、少しそこは薬品の香りが漂っていた。

穣子は机に向かって何かを考えていたようだった。やがて私に気が付くと、にっこり笑って、こちらへ近づく。

少し、その笑顔が不気味だった。

「ありがとね、来てくれて。面白い薬品…物質?が見つかったから、試したくなっちゃって。」

「また何かロクでもない薬を作ったのですか?嫌ですよ、もう毒を飲まされるのは。」

冗談に聞こえるかもしれないが、過去に何度か、実験として飲まされたことがある。

それによって死ぬことは無かったが、死にそうになったことはあった。そのときの彼女の顔は、残酷という表現がぴったりな、狂気を湛えていた。

「だーいじょうぶ、今日は、苦しいのは一瞬だけだから。」

背筋が凍った。何を考えているのか、分かってしまったから。

「死体の腐敗の進行を防ぐ物質が見つかったからさ、それを衣玖さんで試したいんだ。…もちろん、嫌とは言わせない。嫌って言ったって、逃がさないよ。」

私が逃げるより早く、穣子は私の首を絞めにかかった。

痛い、苦しい、怖い、そんな感情が私を支配する。

「…穣…子……何、故…」

「そんなの、決まってる。…あたしが、君のこと好きだから。けれど、神と妖怪、どうしても寿命の差ってものがある。…少しでも綺麗なまま、手元に置いておきたいの。」

辛うじて、彼女の表情を伺うことができた。

それは、今まで見たことが無い、狂った笑顔だった。

「…それ…は…好き、という…ことでは…ありません…!」

必死に出せるだけの声を出す。

私は、昔の彼女に戻って欲しかったのかもしれない。

もう戻らないと分かっていても、ありもしない奇跡にただすがりつきたかっただけかもしれない。

今となっては、もう、分かるはずもない。

「…何と言われてもいい。ただあたしは、君が欲しい、ただそれだけ。だから…あたしのために、死んでね?」

意識が遠のく。

その後、私はどうなったのか。

それを知るのは、目の前に居た、


狂ってしまった、幼い神様だけだった。








疲れてんな、犬。
犬の状態によってキャラに影響が出る不思議wごめんね衣玖さん、最近とばっちりしかくらわせられなくってww

犬得初の、ちゃんとしたヤンデレ…?いや、ただ病んでるだけだな、これは。

ちなみに穣子の言ってる物質はホルマリンのことです。