一週間バレンタインネタ 『ホローチョコ』

ホローチョコとは…中が空洞になっているチョコレートで、イースターの卵の形をしている。
人形、動物や色々な模型品が入っており、人形や動物など様々な立体型を楽しむチョコレート。中が空洞になっているのは、細かい部分が壊れない効果もある。 いわゆるエッ○チョコ(分かるかなー;)。


ラストを飾るのは早穣。





「そういえば、さ。」

バレンタインの一週間前。みのりんがちょっと面白いことをいってのけた。

「あたしたちってさ、ちゃんとバレンタインやったことないよね。」

「あぁ、女の子が好きな人のために汗水垂らす日でしょ?そーね…毎年、あなたには何か別のものあげてるものね。」

別にバレンタインだからといって、チョコレートでこだわる必要などなく、クッキーやケーキ、あるいはマフラーなど何か形が残るものでもいいわけで。

しかし、あたし達はそれすら当てはまらない。

「今年は何のデータにしようかなって考えてたんだけど。」

「あー、やっぱり?あたしも、そんな気がしてた。」

そう言って、彼女はくすっと笑ってみせた。毎年、いつも通りだな、と思って。

あたし達には寿命が無いに等しい。二人でほぼ永遠を生きられるのだから、いちいちそんなことをしなくってもいい。だから、どうしても行事には疎くなってしまうの。

「…でも、折角なんだし…一回やってみない?バレンタインっていうの。」

ハロウィンも、クリスマスも、結局は特に何もしなかったわけだし。

あたしは少し考えて、やがて、

「…いいわね。やってみましょっか。」





当日。チョコはみのりんが作ると言い出したから、あたしはホワイトデーに返す方。

人間だったときはバレンタインとはとても特別な日だと思っていた。けれど、神になってから、それが特別な日だとは思わなくなった。

何もしなくても、いつか必ず、やってくるもの。

人間には回数がある。一生の内に何回行えるか…いつの間にか、根本的に考え方が変えられていたことに少し驚いた。

「早苗ー、作ってみたよー。」

朝一番で、みのりんはチョコレートを渡してきた。

勿論、綺麗にラッピングされてあって、中身は何か見えないようになっている。何となく、作ってきたものに予想は付くけれど。

「…芋、入れた?」

「んー、どう思う?」

あえてはぐらかす。あぁ、これは入っているわね。

みのりんの考えることは分かりにくいと言う仲間は多い。けれど、何年もの付き合いになってくると、その考えもだんだん分かるようになってくる。

「…入ってる、に一票ね。」

貰ったチョコレートを一旦テーブルの上に置く。流石に、置いてるからって誰か食べたりとか、そんなことはないでしょ。

「あれ、食べないの?もらい物はすぐに食べる君が。」

「ふふっ…だって。」

くすり、と笑って、あたしは言った。


…ちょっと、思い出したかもしれない。

特別な日が、特別な理由。

…それは、回数があるからじゃなくって。

いっぱいの、毎年違う、楽しみがあるから。


「…中身すぐに開けちゃったら、何作ったんだろうっていう楽しみがすぐになくなっちゃうじゃない。こういうのは、中身が分からない間が一番楽しいのよ。」

あたしなりの、特別な日の楽しみ方を見つけて。

急ぐ必要は無い。それは、このチョコのように。

たとえ生きていられる時間が途方も無く長くても、その先に何があるかは分からない。

そう、分からないから。

「そっか。…うん、早苗らしいな。」


毎日が、楽しいの。

何気ないその毎日が。

あなたとずっと一緒に居られる、その、一日一日が。

何よりもかけがえなく、愛しい。



「…たまには、こういうのもいいわね。」

「…そしたら、来年もやろっか。…来年は、君があげる方で、さ。」

「えぇ、そうね。…さ、来年はどうしようかしら。」

気が付けば。

あたし達は手をつないで、笑いあっていた。






一番すっきり読みやすいんじゃね?

え、どこがホローチョコって?ほら、卵型のチョコの中身、何が入ってるか分からないじゃん、だから、そんなカンジのを似せて作ろうとしたら、なんかこうなったわけで…あぁもう何がいいたい犬!


さてと、一週間こんな朝2、30分で書き上げた低クオリティな話を読んでくださった方、本当にありがとうございます!
もしよろしければ、一番気に入ったお話を教えてください!因みに犬はとじさとだったりしまs((聞ーてない