なんと藍橙でふ。ついでに小説調。
「いいにゃ…あの傘…」
藍と橙が人間の里を散歩していると、梅雨ということもあってか、たくさんの傘が売り出されていた。
一般的な番傘もあれば、中には幻想入りしたのか、ビニールという珍しい素材で作られているものもあった。透明でかわいい柄が入ったその傘をじっと見つめ、足が止まっていることも忘れる。
「…?どうした、橙。」
「あっ、えっと、にゃ、にゃんでもにゃいにゃ!」
数メートル先の藍に気が付き、あわててその後を追いかける。ビニール傘を名残惜しそうに再び見つめ、それから諦めるように目を逸らした。
「何か気になるものでもあったのか?」
「そ、そんにゃのじゃにゃいにゃ!えっと…えっと、ら、藍しゃまの尻尾今日ももふもふだにゃって!」
適当なことを言って話題を変える。迷惑をかけてはいけない、自分は藍の式なのだから、そんな思いがあって橙はなかなか言い出せなかった。
言いたいことを悟られないよう、傍を俯いて歩く。その刹那、頭に一滴の何か冷たいものが落ちてきた。
「あ…雨。」
空を見上げると、先ほどまでの曇り空が少し黒くなっていることに気が付いた。ぽつりぽつりと、少しずつ雨は強くなる。
「ふふっ…予想していた。ちゃんと、傘は持ってきている。」
くすりと笑って、藍は番傘をさし、橙にもう一本傘を手渡す。それを受け取って、橙は気が付いた。
それは、自分の欲しがっていたビニール傘だということに。
「…お前、それが欲しかったんだろう?透き通っていて、可愛い柄で。私はこちらの方が好みだがな。」
「ら、藍しゃまっ…」
お見通しだった。流石自分の主人だ、全く隠し事が通用しない。
頭をぐしぐし撫でられ、笑いかけられる。すごく嬉しくて、今すぐ一人で雨の里を楽しみたい。この可愛い傘をさして、周りの人に自慢したい。
その思いが我慢できなくなって。
「ありがとうございますにゃっ!!わぁーいっ!わぁーいっ!」
「あっ、何処へ行くんだっ…全く、行ってしまったか。」
藍は止めようとしたが、それより先に橙は走っていってしまった。やれやれと、肩に置こうとした手をしまい、自分も一人で里を歩き始めた。
・
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「にゃははっ!雨の日がこんにゃに楽しいにゃんて…にゃんだか新鮮だにゃっ!」
先ほどより雨は強くなったが、橙は逆にそれを楽しむかのようにスキップをする。水溜りの水がぱしゃりと跳ね、周りの人が迷惑そうに見るが、そんなものおかまいなしだ。
人間達の中でビニール傘を持っている者はかなり少ない。まだまだ貴重なもので、値段が一般の傘と比べるとかなり高いうえ、扱っている店も少ない。河童が作ったものか、外の世界から入ってきたものか。だいたいこのどちらか二つだ。
くるくる回り、跳ねとび、走る。傘が変わっただけなのに楽しくて、ついじっとしてられない。普通に歩くことができなかった。
「にゃ…?」
と、そこに一つの人影が入る。同じくらいの子供で、屋根の下でじっとうずくまっている。傘が無くて家に帰れないのだろうか。
勘に近いが、この雨はまだまだ止みそうに無い。それまで家に帰れない、あるいは親に見つけてもらわなければならない。そう思うと、酷く心が痛んだ。
「……」
じっと自分の傘を見つめる。一緒に入ると言っても、自分は化け猫だ。恐れられるのが目に見えていた。
だから、選択肢としては、この傘を子供にあげること。
「…で、でも、これは…」
自分の欲しかった。けれど、何よりも、藍から貰った、大切な傘なのだ。
勿論、ムシして通りすぎても何も問題ない。けれど、その子供が酷く気になって仕方がなかった。
「……」
その子供の目の前を通り、そして。
橙は傘を置いて、雨の中を走り出した。
・
・
「…橙…傘、無くしたのか?」
藍を見つけ、ただ無言で目の前に立つ。バツが悪く、その顔を直視することはできなかった。
叱られる、そう思って強く目を瞑る。
しかし、
「…?」
いつまでたっても、きつい言葉は投げかけられず、痛みも襲ってこない。
「…なんてな。…えらかった。」
その言葉の意味に気が付き、思わず上を見る。
そこは自分の体を冷たい雨から遮る、別の傘があった。
さとこいでもよかったかもしんない。なんていうか親子っぽいものにしたくて、それで藍橙。
コメ返
<きばりん
うぁぁあああありがとうございやしたぁぁぁあああぁっ!!カレンダーにもメモってくれただと…!!
ブログのみのいくマジ可愛かった…これできばりんの誕生日忘れたら犬最悪だなw
祝ってくれて本当にありがとう!でも、ごめん、きばりんって誕生日いつだkk((
ごめんね誕生日メモってたの気が付いたら消してた!教えてくらはい!!