妖夢の気が恐ろしいものへと変わる。強固たる壁だけを破壊できる、唯一無二の能力を持った覇王のオーラを纏ったのが、誰にでも分かった。
「くくっ…こいつは『剣術を操る程度の能力』を持っておるのか…道理でワシの力を存分に発揮できるわけだ。」
「…女の子の体に入ってパンツぶったぎって行くおっさんってやっぱヘンタi
「っ…なんて殺気なの…!」
武器を構えなおす。花の妖怪はこの辺りでは名の知れた強い妖怪である。並大抵のものは敵うはずもなく、吸血鬼やかの亡霊といった輩とも肩を並べる程度に強い。
そんな彼女がひるんでいる。彼女、いや、彼の長い年月の想いに敵わないと、本能的に思ってしまう。
「……」
しかし、いつまで経っても襲ってこない。自分から動けば負けると思った以上、まずは相手の様子を伺うことに徹底した。
下手に踏み込んで、自分の力を悟られないように。彼女の今までの経験がそう囁いていた。
「…どうしたの、こないわけ?」
挑発交じりの一言。顔に一筋の汗が伝う。
「……幽…違うわ…」
突然レティがその場に倒れる。思わず構えを解いてレティの方を見た。
「レティ!?」
「やつは…すでに一刀振るってたのよ…!」
「そんな…レティまで…」
「…後は…頼んだわよ…」
静かに目を閉じる。何も出来なかったことが少し悔しそうだった。
「れ…レティぃいいいいぃっ!!」
倒れた彼女のすぐ傍にあった二枚の布切れ。それが何を意味しているか、幽香にはすぐに分かった。
見えなかった。そんなレベルではない。
動く瞬間すら分からなかった。
改めて、とんでもない者を相手にしてしまったことを痛感させられる。
「しないって。ただの才能の無駄遣いでしょーが。」
「…くっ…私じゃ…どうしようもないの…!」
今まで数多くの妖怪を相手にし、負けることなどなかった。
それが、今始めて怖気ついて、敵いやしないと思っている、弱い自分がここにいる。
「てか。何でパンツ切られて倒れふすのさ。」
「…私は…こんなところで負けるの…?」
そう思った瞬間だった。刀が目の前にあった。
それは集中が途切れていた、相手が踏み込んでくることを許してしまった証拠。
避けられない、そう思った刹那、
――キィンッ
「悪いな、遅くなった。」
二人の間に割ってはいる一つの影。それは、幽香がよく知っている者の姿。
「…藍っ!」
「ほぉ、まさか自らワシに挑もうとは…おぬしの白銀たる供物を、ワシによこす気にでもなったのか?」
「白限定なn
「はっ…誰が。」
一歩下がり、幽香に引っ込むように命じる。強固たる壁をかけた一騎打ち。心なしか風が強くなってきたようだ。
じりじりとにらみ合い、そして、
「…はぁあっ!!」
先に動いたのは男の方だった。雄たけびをあげ、藍に向かって刀を振るう。
速さは圧倒的だ。しかし、藍の口元は笑っていた。
「残念だったな。」
確かに男は刀を振るった。しかし、九尾の狐は平然と立っていた。
舞い落ちる布切れもそこには無い。避けたのか、いいや、彼女は一歩も動いていない。
「…っ…なん…だと…」
「あぁ、そうだ、今の私は――」
腹部に狐狸妖怪レーザーを打ち込む。
「ノーパンだっ!!」
「ぐわぁぁああぁぁぁあああぁっ!!」
体が大きく吹っ飛び、地面に叩きつけられる。金属の落ちる音、手から刀が離れていた。
妖夢の体に近づき、一礼して彼女は言った。
「…私はお前より知恵が勝っていた。それだけだ。お前のその誇り…技、どれも、すばらしいものだった。」
「どこが。」
そっと妖夢を抱きかかえる。幽香は終わったことを確認して、レティとアリス、二人を抱きかかえた。
「…帰るぞ。私達の偉大な勝利を胸に抱いて!」
「いいからパンツはいてね。」
以上、シリアスギャグでしたー。
なんかね、トイレに行ったら唐突に思いついたのw
良かったら感想下さいw
…ていうか。なんっつー話書いてんだ犬!