妖「サブ面子のお話ですよ。…寅丸は空気ですが。あと幻想郷のお話です。」
「この方針でいいでしょうか。」
にとりに「今度作りたい機械の材料を探して欲しい」と言われ、仕方なく引き受けた四人。その材料は鉱石で、しかもかなり取りに行きづらい場所にあるのだ。
そのため、そこに出発する前に仲間内である程度の方針を決定する。大まかな流れを決定するのは大体はパルスィの役目だ。
「…ちょっと待って、一ついいかな。」
「はい、どうされましたか穣子。」
そこに大抵、穣子は何らかの指摘を入れる。穣子はかなりの切れ者で、実際頭の回転の速さはパルスィよりも優れている。
「ちょっと遠回りになるけれど南の方から緩やかな傾斜を登って、そこから目的地に行こうって話だったよね。けれども実際、ちょっと傾斜のきつい東のところから登った方が圧倒的に早く着く。それに、南には熊が多発してるって聞くしね。東は生物が住むにはそこまで適した環境じゃない。」
「…つまり、東から行った方がいい。そう言いたいのね?」
「そゆことっ。」
寅丸と早苗は顔を見合わせ、それじゃあ東から、と結論を出す。パルスィはまだ少し何か言いたそうにしていたけれど、やがて首を縦に振った。
「それじゃあ、ちょっと大変な山登りに備えて、今日は寝ようとしましょっか。」
「はい、そうですね。」
寅丸と早苗は互いの家に戻ったが、パルスィはその場でじっとしていた。もちろんそれに気がつかない穣子ではない。
「どうかしたの?」
「…別に…」
強く握り締められた拳は震えている。穣子はその様子と先ほどの様子と照らし合わせ、自分なりの結論を口にした。
「ははーん、分かった。いつも意見をしても、私の意見なんて採用されない。じゃあ私が参謀を勤めても意味がない。穣子がやればすべていいじゃない…でしょ?」
「っ…そんな…こと…」
「知ってるよね、私に隠し事はあんまり通用しないって。」
もちろんあんまりどころではないことぐらい、パルスィは分かっていた。けれど、いざすべて思っていることを口にされると、どう反応していいのか分からなくなる。
「…妬ましい?私が。」
「…はっきり言ってくれるわね。…えぇ、そうよ。妬ましいわ。」
そっぽを向くパルスィ。そんな仕草を見て、思わず穣子はくすりと笑う。
「なっ、何よ、何がおかしいのよっ!」
「いやぁ、まるであのときの私だなぁって思ってさ。」
ぴたりと笑うのをやめ、窓の外に出ている少し欠けた月を見て口を開いた。
「…私もね、ある人をしばらく妬ましいって思ってたことがある。」
「…あなたが?」
「うん。その人は人から人気があって、小さな奇跡を起こして人に祀られるようになった現代神(あらびとがみ)。この時点で誰かは分かると思うけれどね。
…羨ましかったよ。人であり神であるあの人…半端な神だと思っていても、私なんかよりもずっと人気があって。」
「……」
ただじっと、静かに穣子の話に耳を傾ける。
「まぁちょっとしたきっかけがあって仲良くなったんだけどね。秋の本当、始まりのときくらいだったかな。おんなじようなこと聞かれて。で、私もパルスィのように答えた。…何て言ったと思う?」
「…気にするな、とか…そんな大層な人間じゃない…その辺のこと?」
くすりと笑い、首を横に振る。
「…言われたよ、「私が起こす風も、あなたが起こす実りも、どっちも同じ一つの奇跡なの。それでも、あなたは自分の力を否定できる?」って。全く…あの人らしいよね。…さてと、もう聡明な君なら私の言いたいこと分かったと思うんだ。」
「…えぇ、やっぱり敵わないわ。」
「へへっ、そりゃどーも。…私はパルスィと比べたらまだまだ知識は足りない。ただちょっと、ひねくれてるだけ。君の意見があるから、私もまた、意見が出来る。それでも…いや、もういっか。柄でもない説教はこのくらいで。」
そう言い終えると階段を登り始める。穣子もまた、この家に泊まりこんでいる。
「…秋。ありがとう…」
「…ふふっ…さ、パルスィも早く寝なよ。昨日は満月なんだから。」
どういう意味かと尋ねるよりも早く、穣子は自分の部屋へ帰ってしまった。
(…あぁ、そういうこと)
けれどその刹那、その意味を理解することが出来た。
満月も、十六夜月も。
三日月だって半月だって。
すべては一つの月だから。
すべて同じ光だから。
コメ返。やっぱ白くならない。
>フシガダシガ
誰だよってツッコミ入れたくなったけど文調で全てを把握したわ。オ・マ・エ・カw
そだよー、何気に去年から始まっとる。
よかったらこいつらで話書いt((
はい、何でもないです。
ま、ちょいちょい見に来てくれると嬉しいわ^^*