ほんのり小話21

そういえば早→幽、早穣の話って一回も小話やってないなって思って。



「きゃぁぁあああぁぁああ幽香さん幽香さn

「失せなさい。」

誰もが一度は目を丸くする光景。最初は穣子も驚いたものだったが、最近ではもう完全にスルーできるようになっていた。

「ちょっと穣子、見てないで助けなさいよ。」

「いいんじゃない?フレンドシップは大切だよ。」

と、いいつつも、よく飽きないなと呆れているのは事実。

実は早苗には聞きたいことが、というより自覚させないといけないと思うことがあった。

「早苗ー、忙しいのは分かるけどちょっと付き合ってくれない?」

「後でいいかしら?」

「あ、いいよ。」

「よくない、今すぐ行って。」





「で、何を手伝えばいいのかしら。」

「ううん、手伝うことは無いよ、ちょっとしたお話。」

穣子は自分の部屋に早苗を招きいれ、ベッドに腰掛ける。早苗は立っている方が落ち着くらしく、立ちっぱなしでよく話をする。

「早苗って恋しないの?」

「え、ちゃんと相手居るじゃない、幽香さんが。」

「いや、だから。恋愛対象として見てる人だって。」

「だから、幽香さん。」

はぁ、と一つ穣子はため息をつく。完全に自覚していないらしい。

予想はしていたけれど。この際はっきりさせておくか、間違いは正すべきだろうしね。

「私思うんだ。早苗は幽香さんは恋愛対象としては見てないよ。」

「そんなこと無いわよ。私は何よりも誰よりも幽香さんが好きよ。」

「それはそうかもしれない。感情もラヴかもしれない。けれどね、よく考えてみて。もし幽香さんが早苗に対して恋愛感情を持って、デレたらどう思う?」

「……」

長針が十回ほど動くと、

「無いわ。」

ばっさり切り捨てた。予想以上にばっさり切り捨てた。

「ありえない、ていうかそれは幽香さんじゃない、むしろ気持ち悪い。」

「そこまでボロクソに言う?」

「言う。だって幽香さんじゃないわ、全く別人よ。」

もし幽香が早苗に好意を持ったらそれはそれで面白かったかもしれない。絶対にありえないけれど。

好きでベタベタくっついてきた相手に好意を持ち、思わずデレたら離れていく。滑稽というか、単なるイジメだ。

「…それじゃ、もう分かった?あくまで君にとって、幽香は『尊敬する人』。だから簡単にボロを出して、デレた幽香なんて見てられないし、理想と反する。」

「そーねぇ。…ま、それでも私は幽香さんのことが誰よりも好きだわ。」

「そ。それはもう自由にしてっていう範囲だから任せる。ちょっと勘違いしてるのが気になっててさ。」

相変わらずの含み笑いを浮かべる。早苗はそんな私を見て、思わず大きな声を上げて笑った。

急に自分の感情がバカらしくなったみたい。むしろ気がつかなかったことが不思議だって。

それはそれでいいんじゃないかな。そういうもんだと私は思うよ。


…ある意味、早苗ってすごいよね。いきなり自分の想っていたことを否定されてもすんなり受け入れて。

そういったら、それが自分の本当の気持ちだもの。

…だって。





「…ほんっと、早苗って強いわぁ。」

「きゃぁぁあああぁぁああ幽香さん幽香さn

「失せなさい。」

やることは全く変わらないってとこ、ある意味あほらしいのを通り越して尊敬するよ。

「ちょっとぉ穣子どうにかしてよ。」

「それなら幽香、早苗に恋愛感情抱いてごらん、外れるよ。」

「ルナティックより難易度高いわ!!」



ま、私は私で、多分この光景が案外気に入ってるのかもしれないね。







結論。どう足掻いても早→幽ってシリアスにはならない。絶対ならない。

さてと、来週一週間、衣玖ルナ小話祭りをやるよ!
ただしオールシリアスだから胃もたれしないように気をつけてね。


あとこっちでも宣伝。
たこくらげ様が『東方百合コミケ』たるものを開くので、良かったら参加お願いします。
因みに犬も参加する予定。今回はギャグ。ネタは『お台所の暗黒騎士(ネタバレ故白文字)』ていうかあんま百合百合してない。




コメ返。
>みぃちゃん
大まかな性格のキャラかぶりは意外といるんだよね。
ただCPとかその他設定のせいで結構埋もれがちなんだけど。

みょんと寅ちゃんはあれだもんね、寅ちゃんが出てきた時点で2P妖夢って扱い受けてたからねぇ…犬から。うっかりもアリスと比べたら弱いし。

早苗さん歪みないよぉw壮絶すぎるZE早苗さんwすごいよ早苗さん!

娘々はすでに屠自子と両想いだから、そこまで必死にならなくてもいいって思ってこうなんだろうね^^;
残念ながら娘々はベタベタくっつくイメージ。早苗はストーカー。