ほんのり小話32

長らくの放置すみませんでしたorz
幻想郷の話、いくみの…みのいく?のシリアス話を。多分ちょっと長くなる予定。
あ、あとオリキャラ出てきます。一般市民A的な。

っていうか…竜宮って実際にある…で、いいんだよね(え)?





「…っとう…腹が立つったらありゃしないわ…!」

天界にある竜宮の一室。そこには3人の竜宮の使いが互いに話し合っていた。

竜宮の使い、もとい天女達の生活は決して豊かなものではない。人間達が想像するよりも生活が貧しくなる者だって少なくは無かった。この3人もそのような者だ。

故に自分よりの地位の高い者を妬み、どうにかして貶めてやろうか、そのようなことを考える者も出てきた。

…と言っても、同じ同業者である。ちょっとした嫌がらせ程度で、傷つけあうことは流石に無い。

同属同士で殺しあうのは、自分の利益しか考えない人間だけだ。

「本当ね…総領娘様に仕えているくせに…平気な顔で下界に何度も降り立って…」

総領娘とは天子のことである。最も高い地位にある者で、さらにその者に仕える竜宮の使い、永江衣玖。無断で降り立っているように見えても、ちゃんと天子からの許可を貰って下界…というより、友達でもあり仲間でもある人達の元へ行っている。

その自由さが、余計に3人の怒りを沸き立たせたのだ。

「…きっと、下に大切な…そうね…恋人でも居るに違いないわ。」

「そうね…っふふ…いいこと考えたわ…」

一人が唐突に立ち上がる。そして部屋を出て、残りもそれに続く。


 ―それなら、大切な人を奪えばいい―




「…よし、材料は全部これでそろったよ。ありがとう、手伝ってくれて。」

魔法の森の外れ。衣玖は穣子に連れられて一緒に薬草を摘みに出向いていた。

早苗には種類を細かく伝える必要があるし、パルスィはよく知っているけれど目が悪いため探し物には向いていない。寅丸は論外だ。

形が似ている物を探す場合は早苗の方が役に立ってくれる。細かな違いを見分けることが出来る彼女は、一度正しいものを見せてやるとすぐに見つけ出してくれる。

しかし、今回は種類が多い代わりに似たような薬草は一切無い。そこで、衣玖を連れてきてさっさと終わらせてしまおうというのが彼女の目論見だった。

「いえいえ。このくらいお安い御用ですよ。」

そう言って、にっこり微笑んでみせる。相変わらずお人よしだなぁと、穣子もつられて笑って見せた。

普通ならいやいややらされるものだというのに。彼女の場合、それを快く引き受けてくれる。

「では、私はこれで戻りますね。穣子も戻りますか?」

「ううん、あたしはもう少し…というか、夜になって帰るよ。」

「?夜までかなり時間がありますが…」

今はちょうど正午だろうか。魔法の森にはほとんど日の光が届かないので、曖昧な時間しか分からない。

それでも日が差し込むということは、太陽がほぼ真上にある証拠だろう。低い位置にあれば、光は一切差し込んでこない。

「うん。魔理沙じゃないけど、キノコ探し。…って言っても、今度作る薬の材料じゃないし、完全に好奇心の代物だから、衣玖さんを巻き込むつもりは無いさ。」

穣子が言うには、暗闇でほんのり光るキノコがあり、それを昼間に見つけ、夜にその様子を確認するといったもの。どんな形で、どんな色をしているかはすでに把握しているらしい。

「…そうですか。分かりました、ではお気をつけて。」

軽く手を振ると、衣玖はそのままルナサの家へと向かった。穣子はその後ろ姿をしばらく追うと、やがてもう一つの目的を果たしに奥へと進んだ。


…その様子を伺う者がいることには気付かずに。







…さてと、今回は果たしてどのくらいの文量になるかな…!!