ほんのり小話 37

これ最初に見ることオススメ。
朱色: http://www.colordic.org/colorsample/2245.html
緋色: http://www.colordic.org/colorsample/2267.html
碧色: http://www.colordic.org/colorsample/2098.html

まぁ、碧ってか、青緑だけど。




キバリんがとんでもなく甘い話を書いてきたから、わんこもそれに対抗して甘い話を一本。
勿論、犬得流の、ね…?

後、時系列的に、秋姉妹が仲直りして一年後して、その収穫祭の後の日って設定。で、お腹おぶぅあより前。
これで何が変わるかって?前者は静葉と穣子の扱いが大きく変わるし、後者は穣子の恋愛感情フラグの有無が変わってくる。
つまり、今回はみのりん恋心自覚なし!あ、今でもまだしてないか!





私は緋色で、貴方は朱色。

緋色と朱色は近似色。

けれど緋色は秋には少し濃すぎて。

貴方の明るい色には似合わない、深く燃えるようなこの色。

近いようで遠いこの色は。

ちょうど、私と貴方の距離のようで…




「…どうしたの衣玖さん、考えごと?」

収穫祭が終わった次の日、穣子は衣玖を誘って妖怪の山に来ていた。

時刻は昼頃で、青空が広がっている。秋は夕暮れと言うが、秋の鮮やかな色と空の澄んだ色は以外にも趣がある。その空の下の紅の絨毯を二人はゆっくり歩いていた。

しかし、どうも衣玖は乗り気になれないのか、先ほどから少し暗い表情をしている。どこか上の空で、あまり会話も続かない。

「…ねぇ、衣玖さん?」

「へっ…あ、すみません…聞いていませんでした。」

「また?どうしたのさ、今日ずっとそんな調子だよ?ルナサと喧嘩でもしたの?」

「そうではありません…ただ、ちょっと…」

何度このやりとりをしただろう。流石に何も話してくれず、苛立ちを覚え始めていた。

始め、誘ったときはいつもの衣玖だったのに、妖怪の山について、しばらく歩くとこんな調子になっていた。

…原因は自分にあるのか。けれど、何を尋ねても、的外れなことを言っても大した反応をしてくれない。流石の穣子にも、彼女がどうして悩んでいるのかは分からなかった。

と、そこへ。

「…あれ、みのりんじゃない。偶然ね。衣玖さんも一緒?」

「あっ、早苗!どうしたの、今日は来ないって言ってたけど…」

秋空の下で、守矢神社に居るといっていたはずの早苗を見つける。衣玖の隣を歩いていた穣子は、思わず走って早苗の元へと走っていった。

「あ…」

呼び止めようとしたけれど、何かがそれを邪魔する。それ以上歩み寄ることができず、遠くから二人の様子を見つめるしかなかった。

じっと見つめ、どこかで見たことある二人の色に悩む。


早苗の色は碧色。穣子の朱色とは反対色。

緑と赤、互いに相入れない色。

相入れないからこそ、互いに強調し合う色。

互いに存在を示し、けれど、決してどちらかの存在を消しはしない。

否定することなく、寧ろ一つの鮮やかなコントラストを。

私は、どこかで見たことがある。


「…あぁ、思い出した。」

萩(はぎ)。山野に自生し、初秋に紫紅色、白色の花が房状に咲く落葉低木。

ここからとったのだろうか、襲(かさね)の色目で、表を蘇芳(スオウ)、裏を碧のものを指す。ちょうど、二人の色がそれとぴったり合致していたのだ。

偶然にも、二人の色は着物に使われる色と一緒だった。その鮮やかさに、自分の胸が痛むのを覚える。

更に、萩は秋に用いられる。ちょうど、今のこの季節のような時に。

とても些細なことだとは思う。けれど、私にはその二人が。

…とても、必然的な色に見えてしまった。

鮮やかな萩の色。自分の色とは決して合わないその色は。

…残酷なほどに、自分の胸をその二色で染めあげてしまった。


「…くさん…衣玖さんっ!」

「っ!!」

穣子に強く呼びかけられて我に返る。小さな体を精一杯高くして自分の顔をのぞき込んでいた。

「…またぼーっとして…ホント、これで何回目だったっかな。」

「すみません…その、早苗さんは?」

「ん、帰ったよ。まだやることがあるってさ。ここに来てたのは紅葉の色の付き具合を見るためだってさ。」

そうですか、と短い言葉を返す。まだ自分の心は彼女ら二人の色で染まっていた。

穣子の顔を直視することが出来ず、思わず目線をそらせる。表情は分からないけれど、きっと不満そうな顔をしているだろう。

醜いとは思う。けれど、きっと。

私は今、早苗に、あの碧色に…

「…いいや、もう。ここで伝えたかったこと話しちゃおっと。」

唐突にそんな言葉を投げかけて、周りの綺麗に染めあげられた紅葉を見上げる。何かを探すと、一枚だけ、枝から楓の葉を手に取った。

それを私の前に持ってきて、くるくると指で回す。

その楓の色は、綺麗な朱色だった。

「綺麗だよね、この朱(あけ)の葉。」

「えぇ、そうですね…」

穣子にぴったりなその朱の葉は、やはり自分の緋色とは少し合わない。再び、胸が苦しくなる感覚を覚える。

どうしてこんな色に塗ったのか、思わず静葉を避難する気持ちになってしまう。彼女に非はないのだが、どうしてもそのような想いが出てきてしまう。

出来るだけ今の自分の心を悟られないように振る舞う。穣子はそんな衣玖にお構いなしに話した。

「この間知ったんだけどね。朱ってさ、緋色の緋でもあけって読むらしいんだよ。」

「!?そ、そうなのですか…?」

緋、それはまさに、自分の色。

思わず目を見開く。彼女はくすりと笑って続けた。

「面白いよね。朱色と緋色じゃあ全然違う色なのに、色を取っただけで同じ色になるんだよ。まぁ、全然じゃあないけれどね。近似色だけど、結構違うからさ。」

自分の心が読まれたのか。いいや、そんなことは無い。彼女の振る舞いからすぐに分かった。

くるりと背を向けて、じっと空を見上げる。少し強い風が吹き、朱色の絨毯がふわりと空に吸い込まれる。

「…衣玖さんと同じ色。悪くないかな。」

「…穣子?」

表情は見えない、けれど。

「ひねくれ者のあたしと、人に振り回されてばっかりの衣玖さん。けれど、人間に忘れられたあたしと、人間に嫌われた衣玖さん。全然違う色でも、やっぱりどこかで似た色でさ。」

「……」

黙って、彼女の言葉を待つ。

「…朱色と緋色は違うけれど、同じ『あけ』の色。性格は全然違うけれど、似たところが多いあたしたち。それがいつか同じになる。…それも悪くないなーって、そう、想っただけだよ。」

再びこちらを向いて、少し苦笑する。ごめんねこんなどうでもいいことだけにつきあわせてと、一言付け足して。

…本当に、彼女はいつもいつも…

「… 秋の空 朱の葉高き 緋の衣 染まりし色は 何ぞあるらん …なんてね。」

即興の歌を作る。その歌の意味を話してはくれなかったが、きっと、こういう意味だろう。

秋の空に高く舞い上がる朱の葉と緋の衣。互いに染まる色は、どんな色であるのだろう。

朱と緋を自分たちに例えて。染まる色は、私たちのこれからの色。…全く、うまく詠んだものだ。

「…それじゃ、帰ろっか。ありがと、こんなのにつきあってくれて。」

しばらくの静寂の後、先に沈黙を破ったのは穣子だった。小さく、消えそうな声でお礼を言う。

「あの…穣子。」

前を歩き出そうとする彼女を呼び止める。何と、また後ろを振り返って。

手を伸ばそうとする。幼い小さな手を取るために。

けれど。

「…いえ、何でもありません。」

そっと、その手をしまった。

「そう?…変な衣玖さんっ。」

いつもの明るい声。いつの間にか、彼女は上機嫌になっていた。

明るい彼女の朱色は本当にこの季節にはぴったりで。

けれど、自分の色もまた、この秋に似合う色だと分かって。

「…ありがとう。」

小さく、聞こえないようにそう呟いた。



朱色と緋色は近いようで遠い色。

けれども朱と緋は同じ色。

私と穣子、まだまだ近くて遠い色だけれど。

いつか、この想いが届いて、同じ色に近づけたら。

だから、この手は。

朱と緋がぴったり重なる、そのときまで…





犬得流の甘い話。心情描写中心、比喩表現多めで微妙なやりとりを書くことにあり!
一般的な露骨な甘さが嫌い&苦手なのよね。だから、この微妙な距離を保って、つかず離れず、近づきたいけれどそうは行かず、でも決して離れない。この絶妙な距離が犬得での甘さの秘訣っ!!

あと萩がみのりんと早苗、朱色と碧色がぴったりって言ったけど。ごめんなさい、もっと萩は赤濃いです。緋色よりも濃いかな…?
ま、細かいことはキニシナーイ((

ん、和歌?あれ完全犬のオリジナルだから、文法とか色々おかしいよ。技法も何にも使わなかったしねw




コメ返。
<キバリん

うんなんかめっさすんなり書けたw
触手だよ!でも実際触手って何していいかよく分からなかったよ!だから適当に料理して顔面に投げつけといた!
ていうかあるのウナギプレイっ!?
第四回の開催は多分時間かかるかなー…?ま、犬の気まぐれ次第ってことd((

面白かったでしょあれwそして元ネタ知ってたんだw
あのもこーちゃんがわんこ好きです。クイズものと華仙の部屋も大好きw


<つらね
リア友にもオマケは認められた!やったね初R-18…?
…おかしい。今までさんざん書こうとしたのに。ん、17.9…つまり、17才10ヶ月24日の人が見れるんだね(計算ミスの可能性高)!
いやー衣玖さんはドM属性ないからねー…いや、そりゃあ一次そんな疑惑あったけどさ。でもわんこは認めん!衣玖さんは清く正しいおもty…妖怪さまなんです!

コメ返返返返((
(なんか永遠に合戦になりそうだから結構省略したよごめんね!)

ちょw藍しゃま嫁なんだよこれでも!

だよね。つらねんとこでもう布都の姿みないもんw居なかったっけあの子。

…あ、うちにも空気読まないキャラ居たわwごめんねホワイトさんww
あとある意味藍しゃまが空気読まない系キャラかしら。謎の発言多いしねw

フランがツッコミってやっぱり珍しい…ま、それ言っちゃったらうちの早苗もヒッドイのか。二次創作でうちんとこみたいな早苗見ないしねw