ほんのり小話 53-1

らいいく…いくらい?がとても書きたくなった。




「衣玖ー朝だぞー。」

朝弱くて起きられない衣玖を起こすのは雷鼓の仕事。頼まれてやっているわけではないが、本人の気遣いから自然とやっていた。

布団から引きずりだそうとして、いつもと様子がおかしいことに気が付いた。

「…?衣玖?」

いつもより顔が赤く、体が熱い。ぐったりしているようにもとらえられた。

どうしたのか、と戸惑っていると、衣玖の方から雷鼓に声を投げかける。

「…雷鼓…ですか?すみません…風邪を引いたみたいで…」

けほけほと、小さく咳をする。大丈夫だから、看病を頼むと言おうとしたが、咳き込んでしまって上手く声にならなかった。

それをじっと見つめ、それからはっと何かに気が付いた。

本能的に、何か感じるものがあったのだろう。いや、ただ単に知識が浅かっただけだというか、子供らしい行動というか。

慌てて衣玖の体を抱き上げる。ひゃあっと短い悲鳴をあげるが、雷鼓には聞こえていなかった。

「え、あの、ら、雷鼓!?」

「うわぁああああん衣玖ぅぅううううっ!!死んじゃいやぁぁあああああ!!」

「!?」

ただの風邪だと言ってるのに何トチ狂ったことをと叫びたくなったが、それと同時に納得することができた。

あぁ、そうか。こいつ…太鼓だから、今まで風邪を引いたことが無いのか。それで、何かよく分からないけれど、私が死にそうだと。そう思って……

…どこに連れて行く気なのだろうか。永遠亭?いや、本人はその場所を知らない。となると、穣子のところ?

穣子のところだと少し困る。普段頼りっぱなしで、また頼ってしまうのは心苦しいものがある。しかも、あくまでも風邪であって、寝ていたら治るものをわざわざ世話されてしまうのは…

ぼんやりする頭で色々考えていると、第三者の声が浴びせられた。予想できたような、ある意味予想外のような者の声だった。

「…で、私達のところに連れてきたと。」

あきれ返ったような、しかし酷く何かを納得したかのようなそんな声だった。

「…なんだ、大根ですか…」

「お前病人なのにむかつくこと言うな。」

頬に青筋を立てたのが見えたが、それをスルー。何も見ていない、気のせい気のせい。

何はともあれ、つれてこられたものは仕方が無い。自室もあることだし、そこにお邪魔させてもらおう。

「なぁっ…衣玖は…衣玖は大丈夫なのかっ…?」

それと雷鼓のこの心配性はなんとかならないものか。

「大丈夫だって。その人今までに色んな目に遭ってるけど、何だかんだで生きてるもん。」

と、屠自古にくっついて明るく笑う娘々。遭いたくて遭ってるわけじゃあないんですよー?

さとりさんに至っては、何も言ってこない。哀れそうな視線を向けるだけで何もしてくれそうにない。ルナサは多分、人里に買出しに行っている。

こいし?箸で食器を叩いて遊んでますよ?

ふぅ、と一つため息をつく。熱を帯びたそれは、とても熱いように感じられた。








あきt((禁断の一言