今日は3/19日!みのいくの日ッ!!
穣子にはクセがある。
分からないものに出会ったら、まずどういうものか、それを考えてみる。
客観的に見つめ、これはきっとこういうものなのだろう、そう予想を立ててから、その分からないものに触れてみる。
それが、知らずと身に付いた彼女のやり方だった。
そしてそれは物体だけではなく、目に見えないものでも一緒。
…あたしは、何で衣玖さんのことが好きなんだろう。
ぽつり、誰も居ない空間でそう呟く。それから、物思いにふけた。
好き、というよりも、お気に入り、の方が正しいのかもしれない。好きというのは意味合いが広すぎる。もう少し分かりやすい言葉を使うなら、お気に入りの方がしっくりくる。
長い間傍に居た。今も、これからも変わらない。あたしはそう思う。これは、偽りの無いあたしの真実。不変の想いだ。
けれど、何がそこまであたしを惹かれさせるのか。それが、自分でも分からない。
特別強いわけでもないし、特別美しい…か。細身で背が高く、胸も大きい。美女と誰もが賞賛する。
そこに惹かれたわけではないことは、よく分かっている。それなら早苗だってお気に入りになる。けれど早苗は親友という、友達としてのランクの高い好きの位置にいる。
後はからかいがいがあるくらいだろうか。でもそれも違う。それなら屠自古や妖夢だってその枠組みに入るし、どんどん惹かれていく自分がいる。
実際は、そんなあたしは居ない。
…一体、何がそこまであたしを惹かれさせるのか。
分からない。けれど、確実に。
あたしは、あの緋色の妖怪に何故か惹かれるのだった。
「あら、穣子から訪ねてくるとは珍しいですね…え、二人きりに、ですか?」
自分の気持ちに分からないところが出てくると、そのまま放置したくなくなる。自分の腕が怪我をしているにも関わらず処置をしない、そのくらいに気持ち悪く、気になるものだった。
だから衣玖さんを連れ出し、風の気持ちいい原に出た。草木が揺らめき、優しい風が頬を掠める。青いリンドウの花が互いに話をしているように、ゆらゆらと視界に映った。
今は、大して気にならなかった。
そもそも、衣玖さんはあたしのことをどう思っているのか。他人のことは他人のこと、どう思われていようがその人の勝手。だから、あたしはあまり他人が自分のことをどう思っているのかは考えたことがない。それで、割り切れていたから。
衣玖さんがあたしのことをどう思っているのか。彼女なりの真実が、少し気になった。
「私は穣子のことが好きですよ…具体的に?えっと理由…ですか。」
紅の瞳で、同じ色をした瞳をじっと見つめる。澄んだ綺麗な色をしていた。
長く生きていると、どうしても濁りが生まれてくる。でも、衣玖さんにはそんなものは全く無い。
あたしはそれが、不思議だとは思ったけれど、何故か納得できるような気がした。
「…ずっと傍に居てくださって、私が逃げ出してしまったときでも、貴方はずっと傍に居てくださる…ルナサとは別のところで、私を支えてくださっているのです。どんなときでも、静かについていてくださる、そんなところに…凄く私は惹かれました。」
目を伏せて、胸に手を当てて穏やかな声で呟く。風がその言葉をさらうように、少し強めに原を駆け抜けた。
言葉の芯は強く、その程度ではさらわれなかった。
「…それに、貴方は自由なのですよ、限りなく。貴方は自由という言葉に縛られていないのです。ルナサは私のために、と思ってくれての行動をとりますが、貴方は違います。貴方はいつでも、いかなるときでも自分の良心に従い、自分のやりたいようにやります。そこには私のためという意味ではなく、自分がこうしたいからという、自分をいかなるときでも尊重するのです。」
そんな姿が、私は大好きですよ、と頬を赤らめて、笑顔で言った。
あたしは、その言葉を断片的に何度も頭の中で再生させた。
何か、分かるような気がしたから。
「立ち止まった私に、気まぐれの風のように後ろから吹いて…しかし、それは必要なときに必ず吹くのです。縛られず、自由を求めたまま、貴方は私の後ろからやってきて、いつの間にか、隣に居て…それから、また離れて、やってくるのです。」
そう言った後、頬を赤らめて、目線を逸らした。とても恥ずかしそうにしている。
じっとその姿をあたしは見つめていた。
どうしてか、その姿がとても印象に残った。
その後、彼女と別れた。誘ってくれてありがとうと言ってくれたけれど、お礼を言うべきなのはむしろこっちだった。
夜に、今日のことを振り返る。何が気に入って、何がそんなにあたしを惹かれさせるのか、分かりそうだったから。
ふと、窓が開いていることに気が付く。気持ちいい春の風が窓から入ってきた。
その風が自分を通り過ぎて、その同時に、気が付いた。
…あぁ、成る程、そういうことか。
何故、あたしは彼女にこれほどまで惹かれたのか。
それは、彼女の言葉と姿勢が大好きだから。
言葉の一つ一つに、とても重みがある。何気ない言葉に、その彼女なりの重みがある。
比喩を交え、その比喩がまた美しく、純粋な心を露にしている。詩人のように美しく、評論家のように説得力がある。
しかしそれは、詩人のように難解ではなく、評論家のように堅苦しくない。
そんな、彼女の言葉があたしは大好きなのだ。
それと同時に、どうしようもなく彼女は人間臭い。
立ち止まり、塞ぎこみ、そして、また歩き出す。自分の善悪と葛藤を繰り返し、自分を築きあげていくその姿勢が。
…どうしようもなく、自分が愛した、人間の姿勢とよく重なる。
妖怪であって、人間の見方になろうとする。人間はどうしようもなく愚かで、過ちを繰り返す、そう言うのが妖怪だと思っていたのだが。
彼女は、そんな人間の、純粋な部分を知っている。
この上なく、人間臭い。どうしようもなく人間臭くて、とても妖怪とは思えない。
しかし、そんな彼女だからこそ、あたしはここまで惹かれるのだ。
風に吹かれながら、夜の闇を目に映した。
その中に闇に溶けきらず、凛と咲く、一つのリンドウに気が付いた。
どうしようもなく、それから目が離せなかった。
以上みのいく話でっした!みのいくというより、みのりんの衣玖さん考察に近いけど!
今回はキバリんがこっちの文章を綺麗だって誉めてくれたから、文章が綺麗に見えるように頑張ってみた!
因みにリンドウは今回色々対比が込められてたりします。
『青いリンドウの花が互いに話をしているように、ゆらゆらと視界に映った。今は、大して気にならなかった。』→穣子にとっての、衣玖さんの姿。何に惹かれるか、何が気になるのか分からないみたいな、そんな感じ。話をしているというのは、二人の会話の姿との対比。
『その中に闇に溶けきらず、凛と咲く、一つのリンドウに気が付いた。どうしようもなく、それから目が離せなかった。』→妖怪としての、衣玖さんの姿。妖怪の中に居るのに、考え方は人間臭いという、そんな対比。目が離せなかったというのは、何に惹かれているか分かった穣子の心情との対比。
花言葉、正義、悲しい愛情。
穣子から見ると妖怪の中でも人間に対して純粋にいる『正義』のようなもの、しかし衣玖さんとしては、穣子のことが好きなのだけれど、種族上(神と妖怪で相反するもの)、絶対に報われないだろう、けれどどうしようもなく好きだから『悲しい愛情』。
…半分くらい奇跡的な対比だったりしますg((ヲイ 話をしているように、ってとこと、花言葉は偶然の産物ですはい。他はちゃんと考えたよ!
コメ返。
<キバリん
おつありんのすけ!!
いや、偶然つながっt(( 時系列の都合だねてへー。
らいいくらいひゃっふい!!
って誉められて嬉しくなったから今回頑張ったy((
対比を入れたり、文章があえて短いところを作ったりしてるからそう感じるのかしらね。という私もよく分かってなかったり^^;
なん…だとぅっ!?よしじゃあ一緒にCP違いで書こうぜ!!
多分ネタは一緒だけど、中身は大分違うことになると思うけどね。ギャグシリアスで書く気満々だったしwエロの要素あんまり無いからねーこっちの。
おっけーね!都合良かったらその3日間インターネットに繋ぐから声かけてくらはい!6時までなら大丈夫よー(我が家はご飯が早い)b
それじゃあよろしこ!