みのいく話でさ、リンドウ使ってたけど。あれ、春の花じゃなくって夏〜秋のはn
長期休みの長編小説!今回はみのりんふぁんたじあ第5章ということで!
時系列的には、お腹おぶぅあから4年後って設定。おぶぅあ→約一年→雷鼓さん参戦→約三年→これ みたいな感じで。
あと、割と卑猥な話だけど、めちゃくちゃエロいわけじゃないからそういうのは期待しないほうがいいよ。
稲刈りも終わり、収穫祭も終わった。そんな晩秋…の、まだ始めの頃のことだった。
アリスの家に向かう早苗。その途中で、ふわりと白い布を風に靡かせるものの姿を見つける。冬の忘れ物、レティ・ホワイトロックだった。
じいっと何かを見つめていたが、早苗に気がつくと、それを見つめるのをやめて話しかける。
「今年の冬は、雪がたくさん降るわ。」
にっこり笑うと、二人の間に冷たい風が一つ吹いた。もうすぐこの幻想郷を包み込む、そんな気配を潜めていた。
どうして分かるのか、と早苗は尋ねる。レティはかめ虫が異常に多いわ、とそっけなく答えた。
そういえばかめ虫を秋にたくさん見かけると、その年は大雪になるという不思議な伝承があったなと思い出す。その真偽は知らないが、そんな話を聞いたことがあった。
雪女の彼女が言うのなら、間違いないのかもしれない。
「あんたは今からどうすんの?その様子だと幽香さんと一緒に花の世話にでも行くのかしら?」
そうね、と空を見上げる。晴れ渡った、綺麗な秋空だ。そのキャンバスの上に、二匹の赤トンボが横切った。
「そうしようかしら。私の季節はまだ先だわ。北風が真の勝者になる季節が待ち遠しいわ。」
「あんたはそうね。あたしも冬は好きよ。白銀の世界はとても綺麗。強いて言うなれば、ちょっと華が無さすぎるわね。」
その言葉に、レティは少しだけ寂しそうな顔を見せた。同意見だった故に、そう思う気持ちはよく分かる。
それと同時に、自分がちょっとだけ否定されているようにも思えたのだった。
それに感づいた早苗はすぐに謝る。
「…っと、ごめんなさい。あたし、あんたのこと悪く言うつもりは無かったのよ。」
「分かってるわ。それだったら冬が嫌いって言うでしょ。どこぞの穀物神のようにね。」
そう言って、くすりと笑う。またもう一度、冷たい風が二人の髪をくすぐった。
早く会いに行ってきたら?と、そんな意味が含まれているように思えた。縦に首を振って、この静かなやりとりを終えて、互いに思ったところへ行こう。
そう思った刹那だった。
「きゃぁぁあああああぁっ!?」
「穣子ぉぉおおおおおぉっ!?」
「…へ?」
幼い神様の悲鳴が聞こえる。滅多なことで悲鳴をあげないあの神様が一体どうしたのか。
驚いて二人はすぐに声が聞こえた、アリスの家に入る。そして、思わず二人は唖然とした。
「あっ、さ、早苗っ!た、助けて!!」
上半身の肌を晒し、何やら白濁した液体が乳から吹き出している。隣にいるのは衣玖…だけだった。なぜかそこにいつもいるはずの雷鼓の姿は無い。
「…えーと、これは?」
やっと絞り出せた声。返ってきたのは衣玖の言葉だった。
ー『穣子の母乳が止まらなくなりました』ー
「…何で?」
「しっ、知らないよ!何かよく分かんないけど、急に止まらなくなったの!」
半狂乱になりながら必死に訴える穣子。白濁した液体は止まることを知らずに、だくだくと流れ落ちた。
少しねとっとし、白というにはやや黄色がかった、そんな感じの液体。確かに母乳のようなものだった。
「…まさか、衣玖さんと穣子の間に隠し子が!?」
「いやいやいや何言い出しているのですか!?大体神と妖怪ですよ!ある意味相反体なものですよ!?それが子作りできると思いますか!」
「…寅ちゃん妖怪で神様の化身よ?」
「そうでしたね!!」
最近パルスィとイチャラブのフォーリンラブを楽しんでいるあの二人。今はどこで、何をしているのだろうか。勿論、誰の知ったことでもない。
その横で、何かに使えないかとレティがコップを持ってきて、溢れ出す母乳を回収していた。
何にせよ、小さな胸から出る量ではない。
「あ、でもさっきより勢い収まってきたじゃない。意外と収集つくんじゃない?」
「そ、そう?…ま、まぁ母乳は残すと胸が腐るとか聞くし…絞るしかないよね。」
胸は腐らないわよ、せいぜい細菌が入って炎症を起こす程度よ、とレティは思ったが、少し言うのを考えて、そのままやめた。
穣子は再び早苗と衣玖を見つめる。早苗は何が言いたいか分かったように、衣玖にそっと両手の先を向けた。
きょとんとした様子で、衣玖は二人を交互に見て、自分を指さす。何をしろというのか、全く分かっていない顔だった。
「いや、だから。あたしどうしていいか分からないから…衣玖さん、代わりに。」
「ファッ!!?」
中身を出しきって。自分じゃあそれをどうやったらいいか分からないけど、大人の衣玖さんだったら何となく分かりそうだから、という意味でそう言った穣子。
対して、それをとても卑猥な意味で捉えてしまった衣玖さん。それに気がついた早苗は、必死に笑うのを堪えている。
「は!?いや、ちょ、ちょちょちょちょっと!?頭おかしくなりました!?で、ででで、できるわけないでしょう!?」
顔を真っ赤にして必死に拒否する。そう言われても分かんないものはしょうがないじゃんかと、むっと表情で言い返す。
その時点で、すでに母乳は殆ど止まっていた。レティもこれ以上はあんまり意味無いわね、と言ってそのコップをテーブルの上に置いた。
二つで取っていて、それぞれはコップの半分より少し下のところまで入っている。一つにすればちょうど一人分だろうか。
「ほら、やってって。胸腐ったら訴えるよ?あたしの大切な体腐らせたら怒るよ?」
「あ、う…わ、分かりましたよ!やればいいのでしょう!?」
神だから別に体作り直せるでしょうに、と早苗はツッコもうと考えたが、面白いものがみれそうなので黙る。
真っ赤に顔を染めあげ、とても恥ずかしそうにする衣玖。農民たちなら発狂する場面だろう。本来一番恥ずかしがるはずの穣子は、何が恥ずかしいのか分からないときょとんとしていた。
そっと未発達の胸に手を当てる。少なくとも妖夢よりは大きい。比べる対象が悪いか。
「…で、では…や、やりますよ?よ、よいのですね?本当によいのですね?」
「はよやれ。」
なんて一言だ。この穀物神に羞恥心を誰か分け与えてください。と、心の底から願う衣玖。勿論、願ったところで何も変わらないが。
まだしばらく躊躇っていたが、もうどうにでもなぁれと頭の中で誰かがささやいたのか、未だかすかに溢れ出るその源泉地へ、
なんと口を当てた。
「…ん?」
予想していなかったのか、間抜けな声を思わずあげる。必死になりすぎるあまり衣玖にはそれが聞こえていない。多分本人は揉んで出すのだと思っていたのだろう。
そのまま口に加え、優しく吸い出す。時折それを舐めてやったりもした。
「あー、やっぱり衣玖さん、勘違いしてるわ!」
「ねぇー。でも好きな相手だし、ちょうどよかったんじゃない?」
その横で、必死に笑いを堪える早苗と、楽しそうにくすくす笑うレティ。揉んで、中身を出せということだったのに、と小声で話し合う。全くとんだ勘違いだ。面白いからいいけど。
それから、レティは部屋の奥のドアの向こうで何かが動く気配を感じた。何か白い布が見えたような気がしたのだ。
「あら、あそこなんか居るわ。」
ちょっと見てくる、とその場を離れる。いってらっしゃいと手を振った早苗は、再びなんか堂々といちゃついている二人の姿を自分の瞳に映した。
「ふぁっ…あっ…ま、また出てきた…っ!」
「んっ…んぅっ……」
「……」
事態がとても悪化していた。こう、全年齢対象とするには色々と規制がかかりそうな、そんな感じ。
体を震わせ、ビクつく小さな神と、それを必死に吸って、白濁した液体を舐め取る妖怪。
…全年齢対象から全年齢紳士淑女対象に書き換えないといけないな、と心の底から思う早苗だった。
「ふふっ、お待たせ……何かすごい絵図になってるわね。」
と、ズルズル何かを引きずる音が聞こえる。何事かとレティの方に視線をやると、そこには太鼓の付喪神、雷鼓が襟を捕まれていて、無理矢理こちらに連れてこられるという哀れな姿があった。
何というか、酷くおびえている気がする。
「…レティ。この絵図をこんな精神年齢が純粋な子供に見せるのはどうかと思うのよ?」
「大丈夫よ、怯えてる原因はそこじゃないから。」
そう言って襟を放す。その刹那、雷鼓はすぐに立ち上がり、レティの後ろに隠れてしまった。
衣玖から隠れるというより、穣子から隠れるという方が正しそうだ。
「…ち、乳…乳ビーム怖い…!」
「何それ。」
そんなどこぞの邪眼つぶしに出かけるゲームのあのゴーレムじゃあるまいし、と考えたが伝わらないからツッコまない早苗。
しかし、理由を考えてすぐにぽんっと手を叩いた。
「そっか。らっこさん、水が苦手だったわね。太鼓は湿り気に弱いから、本能的にイヤがるんだったわ。」
そう、道具が壊れる要因となるものを本能的に恐れるのが付喪神。ルナサは付喪神でないので、バイオリンが壊れても自分が死ぬことはない。だから、水は別に平気だった。
雷鼓も人形(ひとがた)の方は何ともない。のだが、どうしても怖いものは怖いそうだ。
「そういうことよ。それでいきなり液体が吹き出してきたものだから逃げてたのね。道理で駆けつけたときに姿がなかったはずよ。」
ま、今のこれをどう見てるのかは知らないけど、と最後に付け足す。穣子はさっきより落ち着いて、再び吹き出したそれは収束していた。衣玖ももう片方のやつを舐めている。
「…しっかし、あれよね。子供に授乳される大人ってのもシュールよね。」
「授乳言うな。」
いやその通りにしか見えないけれど、と早苗の言葉にツッコみながらも笑うレティ。雷鼓は二人が何やってるかは多分分かっていない。
「なぁんだびっくりしたよ。雷鼓さん居たんだね。」
「う、うんっ……もう出ない?」
恐る恐る穣子に尋ねる雷鼓。んー、とちょっと悩んで、困った顔で言った。
「分かんないや。こんなこと初めてだもん。それにタイミングとか原因がぜんぜん分からないしね…」
と言って、肩を竦める。ようやく止まったらしく、衣玖が口を乳から放した。銀色の糸が彼女の唇とそれの架け橋になり、やがて切れた。
かなり必死だったらしく、カタカタ体を震わせる。顔は赤いどころの騒ぎではない。荒い息を吐き出し、体は汗でぐっしょりになっていた。
「ととっ、大丈夫?」
よろめく体を穣子が支える。直視することができず、顔を逸らして大丈夫です、と小さく、説得力なく言った。
とりあえず疲れはてた衣玖を椅子の上に座らせる。すぐに熱病でもこじらせたかのように、ぐったりとテーブルの上に顔をつっぷした。
「そうそう衣玖さん、みのりんの母乳は美味しかった?」
あんたもなかなかストレートに問題発言してるわよ、とくすくす笑うレティ。ぐったりした衣玖は途切れ途切れになりながらも、小さな声を絞り出した。
「…美味……かっ…た……です…」
そのバカ正直な言葉に、早苗とレティは思わず笑い転げた。これは重傷だと、笑いながら何度も口にする。
ただその言葉をへぇ、と素直に受け止める穣子と雷鼓。コップの中に溜まったものを見つけ、それを二人は興味本心で少し飲んでみた。
「…っなにこれ美味しい!?」
「スゴい!こんな美味しい牛乳の初めてだ!」
「誰が牛だ。」
どこぞの満月に変身するあの人じゃないんだから、と少し腹を立てて額に指を弾いた。ぎゃあっと悲鳴をあげて、そこを押さえる。
更にそれがトリガーとなって、二人の腹筋を崩壊させた。しばらく立ち直れそうにない。
のぼせて立ち直れそうにない人もそこに一人居るが。
「うーん…とりあえず、折角だから飲む?美味しいから捨てるのもったいないし。」
「飲む!わぁーい!!」
あーこれで、雷鼓には『みのりんからは何か美味しいものが出る』って認識されちゃったなぁ、と思わず苦笑する。
しかし、何で止まらなくなったんだか。そう思いつつも、別に害になるようなものではなさそうなので、しばらく様子を見ることにすることを決定した。
「…あの……みの…りこ…」
「ん、なぁに?」
「せめて……胸…しまって……」
あ、忘れてた。完全に忘れてた。
因みに外で。
「ふふっ……授乳される衣玖さん……美味しいわぁ…」
「……」
アリスがその光景を見て涎を垂らしてニヤニヤし、頭を抱えていた幽香が居たのはまた別の話である。
この回が異常に長い。
複線がかなり露骨になってるから、多分推測は結構簡単。ぜひとも何が原因になってるか推測しながら読んでね!
多分6〜8話くらいになるかな?