ほんのり小話 55-3

間違えて『犬得ショートコント』って書いちゃったやっだぁクセになってきてるぅ
あとかなり毎回を長くして話数を減らしたから、多分5で終わる。毎回3〜4000字あんじゃね?






夜になり、幼い神は眠りにつく。神は別に眠らなくてもいいそうだが、本人曰く、とても疲れたから早く寝たいと言い出した。

それもそうだろう。朝からあんな騒ぎがあれば疲れもする。就寝のときは穣子と衣玖は別々の部屋で寝ることにした。

それは互いのためでもあった。穣子は衣玖に夜に早苗との情報交換を任せている。自分も介入した方がいいとは思っていたが、なんせ眠たい。故に起こされないように、穣子はこちらの方がありがたかった。

衣玖としては穣子を起こさなくても済むことより、早苗と相談したいことがあった。

あの、臭いの違和感のことである。

確実に、何か裏がある。

そう分かっていたから、穣子に聞かれない方が何かと好都合だった。

なお、この騒動については隠す必要がないので、仲間に隠蔽はしない方針で動く。素行を聞き回る時点で隠すのはまず無理だと割り切っていたし、特に隠すようなものでもない。

せいぜい、鴉天狗の恰好のスクープのネタにならないことだけを願うことか。

「何か収穫ありました?」

リビングで衣玖は早苗…と、雷鼓に尋ねる。雷鼓の返答は正直あまり期待していない。

「んー…微妙ね。まな板、幽香さん、レティ、寅パル、さとり、こいしには聞けたけれど…さとり、こいしに至っては最近見てないって言うし、皆そろいにそろってアリスの家に居たとしか言わないのよね。」

と言って肩を竦める。母乳が出るようになるかどうかは、結果を言わなくても分かるでしょと一つため息をついて言った。

そりゃあ、同じようなことがあったという方が怖い。

「…?衣玖、なにかあったのか?」

悩んでいるように見えたのか。衣玖の顔をのぞき込むようにして、雷鼓がそう尋ねた。自分の考えに没頭していたわけではないので、雷鼓に気付くなり首を小さく縦に振った。

「…彼女の部屋から、ミントの臭いがしていました。更に、そのことについて、何らかの嘘を付いています。」

「ミントの臭い…?それはまたおかしいわね。」

穣子が意図的に秋に関係の無い香りを漂わせることは、今までに一度も無かったと早苗は言う。実験のために、仕方なく他の臭いがしたことはあっても、気に入ったり、他の人が薦めたから、ということは無かったらしい。

無関係ではない、と早苗も確信する。

「でも変だよな。穣子の臭い、今朝はいつも通り芋臭かったぞ?」

「そうねー…臭い落としてる?朝風呂でもして、臭いを落としてから、芋の香水?」

「絶対芋の臭いは譲らないのですね。」

流石スペルカードに焼芋を引用するだけある、と思わず苦笑する。よく分からないけど、そのくらいに穣子のさつまいも愛は大きく、深い。食物繊維たっぷりである。

「彼女は仰いました、アリスに貰ったミントを焚いて、それで臭くなったと。でも、どう考えても意図的にしか思えないのですよね…あるいは、アリスに強要されてるか?」

何にせよ、本人には一度会ってみる必要があるわねと呟き、大きく伸びをする。さてと、煮詰まるのはこの辺かしら、と帰る準備を始めた。

その刹那、雷鼓が呟く。

「そういえば変だよな。ここってアリスの家だろ?でも、今日アリスに会ってない。」

「…そう、いえば。」

遭遇度ほぼ絶対のはずのアリスを、今日一日見ていない。それからもう一つ気になることがあると雷鼓が口を開く。

「引きこもって、変な臭いをさせてたってことは…その臭いが気に入ったからなのか?でもみのりんは普段そんな臭いさせないんだろ?わたしは何となく、違和感を感じるんだけど…」

二人はどう思う?と、可愛らしく首を傾げる。対象の二人の顔はとても深刻そうなものだった。

「あくまでも推測でしかないけれど。穣子はアリスに頼んで香草を貰って、そのまま引きこもって臭いを求めた。あるいは、アリスが無理に薦めてる。その臭いのせいで、母乳が出るようになった。…この線で多分間違いないと思うのよ。」

こくり、と首を縦に振る。衣玖もその通りだと思った。

何はともあれ、アリスとの接触を図り、問いただす。これが一番解決に至る早道だろう。

ある意味大きく前進したのかもしれない。このまま、彼女と接触できればいいが。

「そうだ衣玖!みのりんの牛乳、また貰えないかな?」

「だから牛じゃないですって。そしてどれだけ気に入ったのですか。」

何か裏があるかもしれないというのに、危機感を全く覚えて居ない者が約一名ほどいた。

大人に大人気の幼い神の乳汁。衣玖と雷鼓が穣子に授乳される姿でも想像したのか、その後早苗がツボって笑い転げて壁に激突して穣子を起こしたのはまた別のお話である。


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さてと。アリスが手がかりだということは分かった。怪しいことこの上ないことはよく分かった。

しかし、分かったからといって、

「……」

出会えるか、というと全くの別問題であった。

「…あぁぁああああもぉぉおおおおおっ!!なんなのあの金髪難病持ち腐れ魔法使い!!忍者かなんかか!!」

あれから4日が経った。しかし、未だに出会えない。出会えないことの腹立たしさよりも、自分よりも隠れる技術が上回っている感じがしてとても悔しいというのが早苗。

対して、忍者疑惑のアリスに対して謎の憧れを抱き始めたのが雷鼓だった。

「凄い凄い!早苗にも、わたしにも見つからないなんて!」

「『ブルーレディーショー』で姿消して探ってもらったりしたのに…それでも見つからないなんて…!」

まぁ、弾幕が出てたからバレバレではあったが。

「…そういえばさ。あんた、弾幕密度上がってたわね?秘密特訓?やぁねー青春しちゃって。」

ツッコミが居ないせいで会話がカオス化している。止める者はこの場には居ない。

ボケをそのまま受け止める雷鼓は、目をキラキラさせながら答えた。

みのりんの牛乳のお陰だ!あれ飲むと、なんか元気出て力がわいてくるんだ!」

「まだ牛乳って言う……」

そこまで言って、はっと気が付いた。

害の無いもの。その意外な盲点。

もしかすると、それは。

「…やばいわね。これは、さっさと解決しないとマズいかもしれないわ。」

冷や汗をかく奇跡の神。太鼓の付喪神には、その意味が分からなかった。

「…らっこさん。実物、ある?」

思い返せば、実物をちゃんと見たことがない。見ればすぐその事実に気が付いただろうに、と自分の失態に舌打ちをする。

それを何か異様なものに映った雷鼓は、急いで貰った分が余ってなかったかと探し始めた。

「…お前等、何か捜し物か?」

「っ!なっ、あ、あんたは!」



「…しかし、ついに5日目になりましたか。」

回数は増えることも無かったが、減ることもなかった。原因が分からない以上、手の打ちようがないのも事実。

これが何もなくて二人きりだったら良かったのに、とくすっと笑う。自分でもなんて戯言を言っているのだろうなと思いつつ。

その言葉に、穣子は何も反応しなかった。

「…穣子?」

「へっ…あ、ごめん、ボーッとしてた。」

申し訳なさそうに笑う。が、それはいつもの笑みと少し異なっていた。

それは疲れた者が人を安心させるために無理をして笑っている、そんな笑みのようだった。

勿論それに気が付かない衣玖ではない。

「…どうしました?酷く疲れているように見えますが…」

「そう…なのかな。うーん…おかしいなぁ…大分寝たんだけど…」

そういえば、と衣玖はふと思い返す。日に日に、穣子が寝ている時間が長くなっていた。

神故に寝なくても大丈夫なはずのその体。何か悪いものが溜まっているのだろうか。

とすれば、この臭いか。それは、相変わらず部屋に漂っていた。

本当は自分の知らない香草なのではないか。

一度疑うと、それが毒草の一種のようにしか思えなくなっていた。

「…もし良かったら、少し外に出ませんか?ずっと引きこもっていると流石に体に悪いですよ。」

早苗の話によると本当に外に出ることがなくなったらしく、最近はルナサのところへも遊びにいっていないそうだ。あちらの仲間は誰もがそういえば見かけてないな、と口にしていたそうだ。

心配して、じっと紅の瞳を見つめる。その提案を穀物神は首を横に振った。

「…流石にやだよ、人前で母乳出すことがあったら。衣玖さんだって、目の前でペロペロしなくないでしょ?」

「ぺ、ペロペロ…そ、それはできませんが…ずっと引きこもっていてはストレスも溜まりますよ?」

やはり外に出ることを提案すると穣子はそれを拒む。理由が未だ分からない。衣玖の中には少なからず焦りがあった。

これがもしも穣子を苦しめているのであったら。

そう思うと、いてもたってもいられなかった。

「…あの、せめて理由を教えていただけませんか?何かを隠しているでしょう?それほど…言いたくないことなのですか?」

「……っ」

ぷいっと顔を逸らす。そこに、いつもの笑顔は無かった。

外に出ようと言っても、理由を聞こうとしても穣子は何も答えない。あるいは、的外れな答えを返すだけ。

そして4日目くらいに気が付いたのだが、必ずこのことに触れると、

「…あ、まただ…」

白濁した液体が、胸からこぼれ落ちるのだった。

「…もう何回目でしょうねこれも。人目についていなければもう慣れっこですよ。」

慣れてはいけないのでしょうが、と思わず苦笑を漏らす。その言葉に、穣子は笑顔を返した。

やつれた、人形のような、そんな笑顔を。

「……」

その笑顔を見て、衣玖の胸が痛んだ。

何が、そうさせなくてはいけなくしているのか。

どうして私に教えてくれないのか。

掴めそうで掴めない、見えそうで見えない答え。

それに触れることを、彼女は許してくれないのか。

何も問わず、胸先を口に入れる。

その白濁した液が、口の中に入ってくるのがよく分かった。

甘くて、不思議と体に染み渡る、そんな味がする。

その味が、今は少し苦しい。

そっと、その体に触れてみた。

そこで、少しだけ異変に気が付いた。

「…穣子?」

体が冷たい。それから、小刻みに震えていたのが激しくなっている。

静かにしていれば、荒い息の音が聞こえる。明らかに何かを無理しているのが分かった。

「っ!?ど、どうしたのですかっ!?」

「…ぁ……っあぁ……」

声を出そうとしても上手く言葉になっていなかった。何かを伝えようとしているのはよく分かるのだが、それが何なのかが分からない。

苦しそうに喘ぐ声。顔色は酷かった。

「しっかりしてください!何故…何故唐突に…っ!?」

「…ゎからな……っ………きもち…るい……っ…」

我慢していたのか。いいや、それは無い。いくら強がりをする神様だとはいえ、自分がここまで危機状態になるのなら流石に人を頼る。

自分が無理をすれば、他人に迷惑をかける。そう、説いていた人だったから。

「…っ……ぅ…」

血の気が引いた顔。どうしよう、ただ焦ることしかできなくて。

穣子が分からないことを、自分が分かるはずもない。

けれど、何かしないと、穣子が危ない。

思ったところで、何ができるわけでもない。

「…っ……」

それから、そのまま静かに目を閉じて、

「穣子っ!?」

力無く、衣玖の元へと倒れ込んだ。

「どうしたというのですかっ…何が…何がっ…」

起きている事態を把握できず、ただうろたえるのみ。原因も、何も分からない。

「…迷っている暇はありません…」

一人では、どうしようもない。

急いで穣子を抱き上げ、その部屋を出た。

何となく、この部屋に置いておくのはいけない気がした。








やっぱ最後の展開びみょん。うーん、もうちょっと長く書いたらよかったなーって、反省。
さぁって昨日までのギャグとは打って変わってシリアスに。やっぱりシリアスいいね!
因みにやっとこの話(あ、まだ書いてない続きね)書き終えました!文字数は秋姉妹喧嘩話よりちょっと少ないくらい。話数が少ないのは、一個一個がかなり長いからだよ!
ま、何にせよやっぱあと2回くらいで終わりそうだから、お付き合いいただだたたけると嬉しいでっす!



コメ返。
<キバリん
母乳話イエャアアアアアア!!

55-1
いや書かないよ?あいつらはゲロアマだから書かないよ?
まぁ…卑猥ではあるわな。でもR-18レベルじゃあないっしょw君の文章の方がよっぽど甘い甘いww
こっちのことは言えないね!多分本気でエロ描こうって思ったらもっとひどいものができあがるから……
…一回未公開でやったことある(ぼそ)。とても後悔したから、捨てた。
え、いいのよ絵にしてもw私も考えたものw公開は絶対しないがな!!
穣子「けーねさんイズ牛。」
腐女子アリスがいい仕事してくれましたーww

55-2
母乳処理班は上手いこと言ったと思ったw衣玖さん3では(人目につかなければ)慣れっこになっちゃったよ!
もこけねは文章だけだけどね…残念ながら出番はないです。
でも出すしかないでしょこれは…キバリんは皆得のエロ担当!そのエロさナンバー1のもこけねの名前は出すしかないっしょ!!
あ、私ももこたんが旦那さんでけーねさんが奥さん。もう犬得じゃあ

穣「もこけね?あぁ、あの夫婦?」
衣「あれは夫婦ですね。…羨ましい…」
早「え、子供居ないの?」
雷「誰のことだろ。」
ル「うん…夫婦だね……衣玖さんも穣子となれるかなぁ…」
静「夫婦という言葉しかありえませんね。…誰かとずっと一緒に居られることが羨ましいです。」

こんなリアクション。雷鼓さんはともかく、5人皆夫婦だと思ってるよ!

だって『露骨なフラグで推理しやすい』が今回の特徴だもの!
母乳なのに推理!母乳なのにシリアス!相変わらず私の小説ってこんなのばっか!
あと2話よろしくね!!

ポケモン
わぁいあざーす!私も楽しかったよ!
今ちょっと色々作業溜まってるし、こっちがもうすぐ春休み終わるからな…でももしかしたらたまに繋いでると思うから、そのときは声かけてくれると嬉しいな…
あれ、こっちも声かけてってなってるwこれじゃあ二人でお見合い合戦だなww