ほんのり小話 66

とても、短いみのいく。






帰るところがある。

帰るところには灯りがある。

灯りがあるから迷わず帰ることができる。

その灯りがあるところが、帰るべきところとなる。



その灯りって何だろう。

些細な疑問だった。

あたしにとって、疑問というのは好奇心。

好奇心というのは恐ろしい、人を殺すというのもよく分かる。

止められない、どうしようもなく、それは止められない。

あたしは一つ好奇心を抱けば、そのためにまっすぐになる。

一途になって、周りが見えなくなる。

熱中なんて、生ぬるい。

分かっていても、止められないから恐ろしい。





「……ふぅ。」

妖怪の山には大きな崖がある。あたしは過去に、ここから落ちたことがある。

別に死にはしないし、ちょっと大きな怪我を負うくらい。か弱い種族ではないから、その内治って、また歩けるようになる。

だから別に怖くない。

「…それじゃあ、いってみようか。」

トンッと、その場を跳んだ。

恐怖なんて全く無かった。

だってすべて、それは好奇心によるものだったから。

殺意よりも、憎悪よりもあたしはそれが恐ろしいと思う。

そこには悪気も何もない。ただ無邪気に、知りたいという、そんな気持ちがあるだけだから。

善悪なんて関係ない、それ以上に恐ろしいことをあたしは知らない。


さて、あたしはこれで、どこへ帰ろうとするか。

多分そこが、あたしが帰るべき場所なのだろう。



「…うん?」

跳んだ、つもりだった。

しかし気づけば、それは叶っていなかった。

誰かに抱きしめられるような感触。強く、手放さないようにぎゅっと力を入れられていた。

「…貴方、何を考えていたのです!?何をしようとしていたのです!?」

半狂乱になった声だった。耳元で大きな声を出されると、流石に煩い。

ただ、何を慌てて、そんなに泣きそうになっているのか。それが、分からなかった。

「何か思いつめるようなことがあったのです!?それでしたら、私にまず相談してくださいよ!何が、何が貴方を…!!」

「…あぁ、」

そういうことか。ここまできて、やっと分かった。

好奇心はこれだから怖い。そんな風に見えるなんて、眼中に無かった。

これがいつも通りなら、多分すぐに気づけたのだろう。

「そっか。確かにこれじゃあ、『自殺』だね。」

「そうでしょう…って、え?」

「ごめんごめん。気づかなかった。」

流石にあっけにとられてぽかーんとしてるのか、声が返ってこない。あたしはその様子に、自分の過ちに少し苦笑した。

崖から落ちて、怪我を負って。そこから、どこへ帰ろうとするのか。その帰ろうとしたところが、多分あたしにとっての灯りがあるところで、帰るべきところなのだろう。そう思ったから、ここから落ちて、怪我するつもりだった。

そう説明すると、手に篭る力が強くなった気がした。

「…もしそれで、死ぬことはないかもしれませんが、本当に、本当に死んだ場合、どうするつもりだったのです?」

「そこが帰る場所だったってことじゃないのかな。」

「バカです…本当に、貴方は。」

ぱらぱらと、崖の土が少し落ちる。それをじっと見つめた。

下には緩衝材となりそうなものは何も無い。落ちたらそれこそ、大怪我を負う、いや、負った崖だ。

飛び降りる恐怖が無いというのは、無鉄砲だったこともあるけれど、それ以上に多分、こんな意味があるんだと、今になって思う。

「酷い話だ。もうあたしには灯りが何で、どこが帰るべき場所か、自分で分かってたんだ。」

「…はい?」

「分かってたから、帰る場所がしっかり分かってたから飛び降りるとき、恐怖がなかったんだ。道に迷う自信がないし、目的もしっかりしてる。だから、あたしは迷わず跳ぼうとしたんだ。なぁんだ、最初から全部分かってたってことじゃんか。酷い話だ、ホント、酷い話だ。」

その言葉に、何を言っているのか分からないといったような、戸惑う声が漏れていた。それに対して、くすくす笑いながらこう答えた。

「帰るべき場所。跳ぼうとしたから、帰れた。」

「…??」

やっぱりその意味も、彼女は分かっていなかった。











何だこれ。
文章的には一つ工夫がありまして。穣子、一切後ろを振り返っていません。だから衣玖さんという単語は文中に一切無かったし、彼女を『見ずに』分かる情報しか地の文には無かったりします。




コメ返。
ティーダさん
米俵ビーム、あんぎゃぁあああああ

一応今は仮免許は持ってますよー。ど田舎なので、自動車免許持ってないとどこにも行けないという悲しい現実がですね…

修学旅行は私は中学のときは嫌でしたね…高校は楽しかったのですが。
頑張ってください(何を)…あれは、条件次第では本当に辛いですからね…!
というこっちは中学のとき、自由行動のグループが男子が比較的平和な人だったわ唯一といっていいくらいの仲良しの友達と組めたわで気楽でした。人酔いして半分くらいフラフラしてましたが…
集合時間の一時間前に到着したのは最早伝説。

オレカバトル楽しいですが、まぁお金がぶっ飛びますね。
しかし1プレイでフロウさんの声が聞けると思えば((おいヤメロ


<なーちゃんさん
いやぁ本当に長らく更新できずに申し訳ない…10日くらいになれば多分平日更新に戻ると思います。

やっぱり秋はいいですよね!気候は涼しく、金色の稲穂、広大な夕焼け、鮮やかな紅葉…至高の季節ですほんとに!!

私も間違いなくペーパーになります。少なくても大学生のうちは絶対乗りませんw
あ、始めたんですねー。時々落書投稿しますのでよろしくお願いしまーす。