時間が取りにくいのなんの。

妖「さなみのいくですよー。」



穣「後期になってー時間割変わってー。」

衣「電車で座れないことにより、記事が更新できない火曜日ができましたー。」

早「月曜日は大体金曜日で疲れて気力なくなってるものね。」

穣「朝書けばいいのに。」

衣「大体寝てますね。」

穣「うわあダメすぎる。なんだかんだでクイズ結局やってないし。」

早「今年はキバリさんやんないし、やっぱいいかなってなりつつあるわよねもう。」

衣「…今年お休みですか?」

早「可能性は高いわねぇけぬさんも受験勉強がんばってるし。」

穣「全力で逃げた口実作ったね。」

衣「年賀状も書かないといけませんしねぇ。」

早「ツイッターやってる人にまた募集かけないといけないわねぇ。今年は色鉛筆か、そうじゃないか…」

穣「絡みなしの単体にしようかな、って思ってるらしいけどね。」

衣「え。」

穣「え?」

早「…まあ、ハガキサイズの定めよね。」

穣「ぶっちゃけ複数描いても構図ひねれないし、ぐちゃぐちゃになるだけだもんねぇ。そうなるくらいだったら単体か、ある意味二人だけにするかってとこに

早「つまりみのりん争奪戦!!」

穣「…は?」

衣「え、ちょっと早苗さ

早「私、衣玖さん、やっつん、静ちゃん、果たして誰が彼女の隣に並ぶことができるのか!」

穣「あたしは確定なの。」

早「確定でしょ。犬得の看板娘だし。」




どうするか悩んでる。

ノメァちゃんが、ノメァちゃんが!!

妖「さなみのいくとノメアさんですよー。」

ノ「ノメァよ。」




穣「ノメァさんがノメァさんじゃなくなった。」

ノ「ちょっと、その言い方酷くない?」

穣「最近中途半端に使える子になって、ノメァさんがノメァさんじゃない。」

ノ「いいじゃない!私だって輝きたいのよ!不幸なネタキャラはもういいのよ!ちょっとくらい強くたってもいいじゃない!」

衣「ちょっとくらい、というのが現実的に聞こえますね。」

早「具体的にどうなったの。」

穣「重傷時に強めの技が放てるようになった。」

ノ「重傷になるまでは状態異常耐性の付与しかできないけど。」

穣「5割くらいの確率で攻撃を避ける。」

ノ「最大HP削って回避を上げて、仲間全体の回避も上げるわ。」

穣「回避成功したらカウンター。」

ノ「ぶっちゃけ100ダメージくらいだからそんなに強くはない。」

穣「見てて腹立つ。」

ノ「うっさい!!」

穣「複数回攻撃にめっぽう強くなったね。見たよ、5回連続攻撃を全部避けて全部カウンターを発動させる君の姿を。」

ノ「あ、あぁあったわねそんなこと…ふふっ、惚れたでしょ?」

穣「ゴキブリに見えてきた。」

ノ「どういうことよそれ!素早さが!?生命力が!?キモさが!?」

穣「えっとね、全部。」

ノ「ひでぇええええええ!!」

衣「うーむ。これはまた鬱陶しいキャラができあがりましたねぇ…」

早「カウンターのレベルが上がったら笑えない冗談になりそうね。今のままで居てくれたらウザいの一言で済むのだけれど。」

ノ「ねぇこれ何か私に恨みでもあんの!?なんでここまでボロクソに言われなきゃいけないのねぇ、ねぇ!!」

穣「君がノメァである以上仕方ないんじゃないかな。」

ノ「存在がネタってことかちくしょおおおおおおおおお!!」





びっくりするほど鬱陶しい。
今のノメァちゃん、中途半端に使える子になっちゃってちょっと微妙な気分。しかし弱体化させる気はさらさらない。
回避成功でSP回復、重傷時ATKアップor重傷にして加護祝福付与、を取ったら完成かなぁ。HITアップは妥協候補。



コメ返。
ティーダさん
私の左の握力小学生レベル。右手は17が最高なので…中学生に負ける始末!!
やばいですね。最早手遅れですね。
片手でノートPC持つことはできない気しかしませんw頑張れ左手。


<ケイさん
何それ怖い!!何それ怖い!!!!
よくペットボトルを開けれなくて友達にヘルプ求めたりします…うぅむ、その力がうらやますぅ……
私のところは中学のとき20以上の女子が少なかったせいか、いかんせん20以上ですげぇってなります。皆非力に見せてたのかな。見せるまでもない私が殴ってやろうかちくせう。

左手の握力よ。

妖「さなみのいくですよー。」




穣「犬が右手の握力を自己ベストを更新し、左手のワーストを更新したよ。」

衣「うわあどうでもいい。」

早「心底どーでもいいわねー。」

穣「まあ聞いてよ聞いてよ。右手17だったんだよ。」

衣「おお、それは凄い。成長しましたね。」

早「友達は普通に30越えてたけどね。」

穣「そんでね、左が6。」

早「…は?」

穣「6。」

衣「…やばくないですか?」

穣「2回目に至っては5.5だったよ。」

衣「…う、うわぁ。」

早「差ありすぎでしょ。っていうか小学時代に返り咲いてるじゃない。」

穣「思った。ほんっとに思った。まあ、腹筋やった後で気分悪くなってたからその影響もあると思うけど。」

早「弱。」

穣「あとは特に変わってないけど、握力どうにかなんないもんかな?」

衣「…手遅れな気しかしませんね。」

早「同感。」



やばい。左の握力が死んでる。
何というか、力の入れ方が分からないっていうか、入らないっていうか。いや病気とかそんなんじゃなくって。
でも右手が意外と高くてびっくり。これは嬉しかったなぁ…

あとね、ちょっと恐ろしくなって小学生が使うような机の椅子を持ってみようとして。右手は少し浮くのに、左手は上には微動だにしないのな。

夏休み最終日。

妖「さなみのいくらいるなしずですよー。」




穣「正直言う。去年の夏休みよりくっそ忙しかった気がする。」

衣「ダメじゃないですかそれ。」

穣「いや、まだ真面目に勉強してたか…犬からしたら。」

早「他の受験生と比べたら明らか不真面目だったっていうのは目に見えてるわね。」

穣「キバリさん見てみなよ。高校受験のためにってブログの更新とうごの作品作りストップさせてるんだよ。それに対して、犬の高校受験のとき何したっけ。」

静「うごメモを、始めましたよね。」

穣「おかしいよね。不真面目にもほどがあるよね。」

雷「うーん…まあ、いいんじゃないかな?結果的には行きたかったとこに行けたことになってるんだしさ。」

穣「受験落ちた人に恨まれること間違いないよこれ。」

衣「あ、それは思います。」

穣「さって。んで、問題ごとを一つ抱えたまま夏休み終わりを迎えるわけで。」

ル「…何かあったっけ…?」

穣「クイズ、やってない。」

ル「あ。」

穣「まぁ、ぶっちゃけ電車の中の方が時間取れて考えやすくはなるから実をいうとあんまり深刻な悩みではなかったり。」

衣「はよやれってだけの話ですね。」




免許取れて、イベントも成功して万々歳。

ノメァちゃん再光臨

妖「さなみのいく、と懐かしいお方が…」





ノ「えー、覚えてくれてる人がどのくらいか分からないけど、ノメァ・ピドュポエガよ。」

穣「多分誰も覚えて無いよ。」

ノ「分かってるわよ…元々TRPG用に作られたオリキャラで、攻撃を宛てられない、逆に相手からも貰わない、ダイスで決めたステータスが酷いということから『不幸キャラ』として一役買うようになっちゃった子よ。」

衣「それ自分で言ってて虚しくないですか?」

ノ「虚しいわよめっちゃくちゃ虚しいわよ。」

早「ん、で。再降臨って何があったの。」

ノ「あぁ、つぶきゃら。で私が登録されたから、出会ったらよろしくって。腕力・敏捷特化でとりあえずぶん殴りにかかるプリーストよ。」

穣「それはプリーストじゃないような…」

ノ「一番低いのは精神。」

穣「プリーストじゃない。」

ノ「触ったり、倒したりすると不幸(衰弱、攻撃と防御を下げたはず)がうつるわよ。」

穣「絶対にプリーストじゃない。」

ノ「攻撃当てられないのは健在。そして攻撃をなかなか食らわないのも健在。」

衣「ランダム上昇のはずなのに、どうしてそうもTRPGの伝説を再現しようとするのです?」

ノ「私が聞きたいわよ!何でこんなことになっちゃったのよせっかく第二の人生が歩めると思ったのに!結局ミスフォーチュン娘じゃないの!!」

早「ここまで来るといっそすがすがしいわね。あと生命が伸びたらすごい鬱陶しいことになりそうなんだけど。」

ノ「生命が高いと倒されたときの呪いがなかなか発動できないわ。」

衣「生きようとしてください。」

早「っていうか攻撃なかなか食らわないんだったらその意味あんまりないような。」

ノ「それは思ったけど、早々に倒れたら流石にまずいと思うのよ。」

穣「終盤に倒れても微妙だけどね…うーん、中盤、かつ一番初めに倒れるのが一番かな。」

ノ「そうねぇ…一番に倒れるのが一番いいわよね。」

衣「だから生きようとしてください。」








ENo.3049です。見つけたらくすっとしてやってください。

ほんのり小話 67-4

ほいラストォォォオオオオ!!






「はぁああああああっ!!」

「たぁああああああっ!!」

己の武器を振るい、避け、跳び、舞う。

紅の世界。獣の喧噪が聞こえない。獣が互いに傷つけ合い、そろそろ離脱していったものも数え切れないほどになっていた。

辺りは血の海で、肉片や臓物が飛散し、更に紅く、紅く染めあげる。どこを見渡しても紅一色の、不気味な世界。

そんな舞台の上で舞う殺戮の踊り子。緋色の美しい踊り手と、朱色の可愛い踊り手。余興はまだまだ終わらない。互いに屠り合い、美しくも残虐なる演舞。

元々赤である二人にはこの舞台が不思議と似合う。赤、紅、朱、緋ー…それは最早、一色に塗りたくられていて。

「竜宮『タイヤヒラメダンス』!!」

ドリル状にしていたそれを羽衣の形に戻す。ひらり、美しく舞う。しかしその中に仕込まれた数々の攻撃。その舞は回避とともに読みづらい切りが含まれていた。

当然穣子は全てを避けることはできない。ピッと頬や腕からかすったような血が飛び散るが一撃一撃は軽い。

「『寒九の雨』!」

杖を振るい、現象化させたのは大粒の雨。大気の妖力なので、雲を必要としない。ザァッと降り注いだが、衣玖はそれを、降ると予想したところよりも上に飛ぶ。体が抜けるための部分は羽衣で払った。

「降るものは、その上へ逃れてしまえば意味をなしませんよ?」

「そうだね…でも、それはあたしの狙い通り!」

具現化した雨には実は何も特別な効果はない。本当に、ただの雨なのだ。

はっと気がつく。自分の飛んだ、更に高いところから大きな矢のような塊が飛んできていることを。

「ーーガァッ!!」

緊急回避。間に合わず、左わき腹を抉られる。ボタボタと、紅い花が地面に咲いた。

いつもの衣玖であれば、これでかなり動きが鈍くなったのだろう。

「…ふふ、ダミーでしたか。」

しかし、今宵は紅い月。ものともしないように、ふわりと地面に舞い降りた。

妖怪としての治癒能力も格段に上がっている。一時間もあれば傷は塞がってしまっているだろう。

「ダミーだけどダミーじゃない。その雨にも、立派な意味がある。よかったよ、今日は秋。紅に染まった葉っぱが美しいね。」

頬を伝う血を指でなぞる。乾ききっていない、綺麗な紅だった。

「静葉さん残念ですね。せっかく染めあげた紅、染めるまでもありませんでした。」

「そうだね。皆が皆、この木々をも紅に、」

ふわり、穣子のスカートが浮き上がる。

何かしらしかける前ぶれだ。

「ーー染めちゃったもんね!」

強風が吹き荒れる。その中に混じる、紅の紅葉の数々。先ほどの雨のせいで、水滴も共に宙に舞った。

軽い葉は荒れ狂う風に乗り、刃物となる。無数の小さな葉が衣玖に襲いかかった。

「棘符『雷雲棘魚』!」

全身に雷のバリアを纏う。雷は彼女には通用しないが、その刃物には十分な威力を見せた。

焼け焦げ、辺りの臭いとは違う香りを漂わせる。世界は生物の臭いで充満している。その臭いは宴には違和感があった。

しかし、似合わないというわけではない。焼ける臭いも、宴を飾るには十分だった。

「ちっ、そいやそんなスペルカードあったね…!」

計算外、といった表情を見せる。にやり、笑うと再び羽衣をドリルのようにし、スペルカードを宣言。

「光珠『龍の光る眼』!」

ゆっくりと回転しながら迫り来る珠。それを横に回避し、直後に衣玖がそのドリルで突きにかかる。

かろうじて斜め後ろに飛んで避ける、がそれも計算に入っていたらしく、

「雷符『神鳴り様の住処』!」

着地地点に大きな雷を落とす。打たれることになったが、それでも彼女は平気だ。
そう、雷、は。

「…ァ、あぁああっ!!」

雷のそれはダミーだった。打たれた瞬間、光による目くらましとなり、穣子の視界を瞬間的に奪う。

そのわずかな間で、衣玖は鋭く尖らせた自分の得物を、穣子の腹部に深く押し込んだのだ。

「雷に打たれたとき、霊力に変換するためかは、光で見えないのかは知りませんが…動きがその間、止まるのです。」

乱暴に引き抜き、すぐに後方に飛ぶ。すぐに衣玖が居たところから植物の蔦が槍のように伸びた。

「く、はぁっ……へへっ、こうも長い間居ると、癖もよぉーく知ってるもんね…ゲホォッ!!」

普通の人であれば、それは致命傷だ。流石の穣子も立っているのが限界だという様子だ。

空洞が出来、気味の悪い体になってしまった。こみ上げる血に、その場で噎せる。そんな隙だらけの彼女を、衣玖は見逃さなかった。

「魚符『龍魚ドリル』!」

一際大きな得物で彼女を射抜こうとする。が、それはできなかった。

蔦、蔦、蔦ーー…手足をしばり、いっさいの身動きを封じる。噎せながらも笑みを浮かべ、荒い息をあげながら、

「…君は、読み合いが…今でも甘いんだ!」

その蔦を伸ばし、宙に体を持ち上げて、一気に地面に叩きつけた。

「ゴァッーー!!」

バキバキと、嫌な音がする。軟弱な骨が数本折れただろう。彼女もまた、口から鮮血をこぼした。

「『寒九の雨』……」

ザァアッと、再びただの雨が降る。衣玖の紅を洗い流すかのように、びっしゃりと彼女を濡らした。

「…く、ただの雨ごとき…!!」

「…さあ…ただの雨だけど、雨は雨だ…!いや、それはただの雨って言うにはちょっと違うかな…?」

終わりだよ、と言いたげに穣子は彼女に近づいた。

水は電気を通す。今雷を放てば、この蔦は全て焼き焦がすことができるだろう。

しかし、気がつく。雷が、上手く扱えない。その瞬間、はっと気づく。

「まさか…!」

「そう…『純粋な水』だったらどうなる?」

純粋な水。あるところでは蒸留水とも呼ばれた、不純物も何もない水。

純粋な水は電気を通さない。水が電気を通すというのは、水の中にある別の何かのせい。

「今君が雷を放とうとすれば、下手をすれば大変なことになると思うよ?」

それに、と言おうとして気がつく。いや、穣子はそのことに気がついていたのだろう。

穣子の背後から、白い光が漏れる。その光は遠く、遠くから輝いている。

そう、これは。

「…ひっ、」

ーー夜明けだ。

「…嫌、嫌だ…!まだ決着がついていません!まだ私は貴方を…!!」

渾身の力で蔦を引きちぎる。感情が爆発したかのように、叫びながら剣を振るう。

しかし、それは闇雲に振り回す拙い攻撃。更に、もう一つ穣子はそこに仕込んでいたものがある。

「もうあたしには攻撃は当たらないよ…君は気づいてないだろうけど、君の今の武器、すごく重たいんだ。」

そう、本来の狙いはこれだった。衣に水を含ませ、重量を重くする。一撃は強くなるかもしれないが、その分予備動作が大きくなる。避けるには十分すぎた。

「…い、嫌です、嫌です!戻りたくない、戻りたくない戻りたくない!!」

瞳から涙が溢れ出す。その瞳には、最早先ほどまでの狂気はなかった。

いよいよ立っていられなくなり、地面に膝をつける。先ほどの無茶な動きに加え、内部の傷は大きく深い。妖力もいつもと同じくらいの強さに戻ってきていた。

「私…戻ってしまったら…また、弱くなってしまう…また穣子に守られるだけの、そんな弱い存在になってしまう…もう、貴方の足を引っ張りたくないのです!」

「…そっ、か。」

ふと、優しい表情になる。思わず武器を振るうのをやめてしまう。

刹那、暖かいものが触れたような、そんな感覚に襲われる。

気がつけば、朱の踊り手の手の中に、緋の踊り手の体があった。

「君の本音、やっと聞けた。足をひっぱりたくなかったから、あたしと出会わなかった方がよかった。あたしに守られてばっかりの自分が嫌だったから、そうなるよりは孤独でいた方がよかった。」

「……」

返ってくる返事はない。ただ、小さな嗚咽が聞こえる。

「…夜明けだよ。あたしの、勝ちだ。」

完全に紅の月が沈み、明るい太陽が辺りを照らす。大地に咲いた紅の花こそそのままだったが、あの狂気の宴は確実に終わったのだ。

「…どうして、私はいつも貴方に勝てないのでしょう…いつもいつも、守られて…身体能力も、実際の力も私の方が強いはずなのに、私は貴方に一度とて勝てた試しがありません…自分でも、分からない…」

どうすれば、貴方を守れるようになるのか。その質問に、穣子はぎゅっと、その体を強く抱きしめて言った。

「守ろうとするからだよ。守ろうとするから、守れない…いや、守れないように感じているだけなんだ。」

「…どういう…?」

やれやれ、と小さくため息をつく。しばらく声が返ってこなかったが、やがて、

「実際あたしは、君にいっぱい守られてる。でもそれは、全部衣玖さんが無意識の行動で、気がついていないだけなんだ。君は、守ろうとして守れていないってとこだけを見てる。本質じゃなくて、結果しか見ていない。」

「……」

あぁ、そうか。

少しだけ分かった気がする。

「…穣子。」

狂っていて、気がつかなかったけれど。

「貴方、最後まで反逆者でしたね。」

「参加者と楽しみすぎたけどね。」

「殺し合いには最後まで反対していました。」

「二次会には参加したくなかったね。」

そう、穣子はこの宴に参加していたようで、最後までしていなかった。

最後まで、反逆者でありつづけた。

そう、最後まで、

殺し合いには応じず、私を止めることを、時間を稼ぐことのみ専念していた。

「…知らない内に守られるとは、このようなことですか。」

飛散物が多かったのは、大きな傷を作らないようにするため。あの矢は、あえて気づくように仕掛けられていた。雨で動きを鈍くしたり、雷を打てないようにしようといった試み。最後のあの一撃は、殺すためではなく、動けなくするためのもの。

「…すみませんでした。」

「反逆者に何で謝るの。」

「理性が無かったとはいえ、貴方を襲ってしまった。酷いことを言ってしまった。あげくにまで、殺そうとしました。」

「殺しはできないよ。あたし神だもん。」

「月の宴とはいえ、私のやったことは許されません。」

「踊り手は踊るべきところで踊るものだ。」

「紅の滴に酔いしれて、魔性を出して、荒れ狂ってしまった。」

「嵐は去るもの。気まぐれにやってくるだけ。」

「…全く、貴方はいつもそうです。」

ふぅ、と一つため息をつく。酷く、疲れた。

無理もない。夜中ずっと宴に参加していたのだ。夜通しで行われた宴会に、疲れないはずがない。

「…ゲーム。貴方の言うとおりにします。」

「それなら…一緒に寝よっか。踊り手のまねごとにはいささか疲れた。」

「それはいいです。私も…」

体を横に倒す。穣子も、それに応じるように、そっと横へ倒れた。

「…月の宴会は、また今夜ですね。」

「今度は、白銀の光を浴びて、ね…」

紅の舞台で。決して紅に染まることのなかった二つの赤。

朱と緋の花が、紅の花に囲まれて、そっと可憐に咲き誇った。



「…伝え損ねてしまったことがあります。」

「ん、何…?」

「貴方、『君はあたしが居なかった方が良かったって思うんだ』と仰いました。
…あれ、嘘ですから。そんなこと、ありませんから…」

「…知ってる。」

豊穣の神は目を閉じた。

体の空洞は、完全に塞がっていた。









明日は九十九の日なので、みのやつ上げたいなぁ…間に合う気なんてしませんが!!
えぇ今年クイズかなり遅れますよ!!あ、あと自動車免許取れましたわぁい!!
因みに、この小説の元々の作品はCWシナリオのほしみ様作『紅し月夜に踊りて』です。リプレイ要素が皆無になったので、最早オリジナル作品です…『紅し夜に仲間とバトル』という、素敵なシチュエーションを使わせていただきました。あの素晴らしい作品をありがとうございました…!!

コメ返。
<キバリん
やっていいのよ。やっていいのよ!
バトル書くの楽しいから、ほら、やろうぜ!!

ほんのり小話 67-3

あっ、19日近いっ、九十九の日だからみのやつ書きたいっ(べべーんは?)










「秋符『オータムスカイ』。」

比較的避けやすい弾幕。辺りにまき散らし、出方を伺う。一つさえ彼女を掠めることはないだろう。

衣玖の武器は大剣のような槍だと思えばいい。一つ一つの攻撃にスキができやすいが、その一撃の威力は大きく、リーチも長い。対する穣子の武器はは物理攻撃にはとても向かないが、杖にしては太く、堅くできているので牽制には扱いやすい。杖というよりは、スタッフと言った方が正しいだろう。

互いに遠距離からの攻撃も持っているが、衣玖はあまり遠距離からの攻撃を得意としない。雷を落とす攻撃は狙いが外れやすく、正確に相手を捉えることは難しい。それよりも、相手を無理に動かすときに使用してくると考えた方がいいだろう。

それに、穣子に対して雷は意味をなさず、むしろ

「雲海『玄雲海の雷庭』!」

塩を送ることになる。

広範囲にいくつもの雷の筋が走った。張った弾幕が全てうち消され、穣子にも雷がいくつも命中する。が、当の彼女はにやり、と不敵に笑い、

「お返し!秋符『秋の空と乙女の心』!」

いつもよりも高密度で反則レベルの玉をお見舞いした。

紅い月のせいだけでない。雷は彼女にとっては力となる。豊穣と雷には密接な関係があり、米は雷を受けて実るものだと古来から考えられてきた。

稲妻。豊穣のための雷。彼女にとって雷はむしろ力を分け与えてくれるものであったのだ。

「雷はあたしには効かない…力は遙かに君に劣るけど、君にも不利なところはある。遅れは取らないはずだよ!」

「……」

静かに剣を構え、目を閉じる。

「…いつも、私が遅れを取っていました。」

「…?」

先ほどまでの、荒々しい声ではない。静かに、しかし熱を帯びた声に、思わず穣子も聞き入ってしまう。

「いつもそうでした。私は何度も穣子に助けられました。力量では私の方が上なのに、貴方は何度も何度も…」

気づくと、一瞬にして反則弾幕は消えていた。それどころか、彼女の存在は瞬間移動してきたかのように目の前にあって、

「ーーそれが、嫌だった!!」

いつの間にか、空中に身が放り投げられていた。

「がッーー!!」

わき腹に強い痛み。突きではなく、薙ぎによる攻撃だった。宙に浮き、体勢を立て直すより先に衣玖が追撃のためにそれよりも高く跳び、上から得物を振り降ろした。

「ぐーー」

何とか杖でその攻撃を受け止める。だが、今穣子を支えるものは何もない。その力を受けて、大きく大地に向かって体が落ち始めた。

衝突音。聞こえるはずのそれはとても小さな音だった。

とっさに地面から植物の蔦を生やし、それを網のようにしてその上に自分の体が落ちるようにして衝突を免れていた。恐らく宙に放り出されたことに気がついたと同時に、そのまま地面にたたき落とされることを予想していたのだろう。

「私には力が無かった!私は無力なままだった!ずっとずっと、穣子に遅れをとって…気づけば私は、貴方に守られてばかりで!」

そのまま、空気を蹴る。天からの一撃を横に転がり、その攻撃を回避し、わずかな段差から体のバネを利用して立ち上がった。

「貴方もそうでしょう…?私が弱いから、貴方は守るのでしょう?私が貴方よりも弱いから、貴方は!」

「!それは違う!」

再び突き。それを杖で受け止め、連撃に入ったそれを全て盾のようにして防ぐ。一撃一撃が重く、その度に踵付近の土が盛り上がった。

「…しかし、今の私は違います。今の私には力があります。貴方に、これで…私が強いと証明できる!もう守るべき存在でないと証明できる!」

バチッと、剣に雷が帯びる音がする。いよいよ妖力が暴走を始めたのだろう、逃げ場の無い妖力が雷と具現化する。

穣子の方には特には変化が無い。元々専門の力ではないせいか、力が漏れている様子は無い。

「貴方さえ居なければ…貴方さえ居なければ、私は私であれたのに!貴方が居るから!貴方のせいで!」

「……」

魔性の月の更なる効果。内に秘める負の感情を、どんなに小さなものでも大きなものへと変えてしまう。自分が知らずの内に抱いていた感情の暴虐。己の身を殺し、他者を襲い、全てを食らう獣へと変化させる。

戸惑っていたが、穣子も月に狂わされたのか。酷く冷静に、彼女に尋ねた。

「それじゃあ君は、あたしが居なかった方が良かったって思うんだ。君は、あたしと端から会わなかったら、出会わなかったら良かったって思うんだ。」

「……」

返ってくる返答は無い。ただ、狂気に満ちた紅の瞳がギラリと穣子を睨んだ。

その瞳を見て、穣子はぽつりと一言。

「そっか。ーーそれは、残念だ。」

刹那、空中からいくつもの雨のようなものが降り注ぐ。小さな星のように、無数もの雨が衣玖に襲いかかった。

剣を盾のようにして防ぐ。あまり大きな威力は無かった。

「やっと妖力の使い方が分かってきたよ。あたしには自分の中に妖力があるのかは分からない。分からないものは扱えない。」

だったら、外にあるものを使えばいい。

杖を振ると、空気中の妖力が一気に凝縮し、紅の氷柱を作る。杖をくるくると回し、地面に向かって振り降ろす。それが合図となり、第二の雨が再び降り注いだ。

「く、羽衣『羽衣は空の如く』!」

これは受け止めてしまえば下手をすれば武器が武器でなくなる。無条件に攻撃を避けるスペルカードで、血の塊のようなそれを全て回避した。

明らかに穣子の能力とは関係の無い技に少し戸惑いを覚える。穣子は妖力の性質を理解し、『現象』として発生させる術を身につけた。彼女もまた、無意識のうちに戦いを強いられる宴に身を沈ませていたのだ。

圧倒的な身体能力を得た衣玖と、攻撃の術を広げた穣子。互いに傷つけ、踊り、舞う。血こそ流れていないものの、遅かれ早かれ流すことになるだろう。

「…穣子、ここで決着をつけませんか?私と貴方、本当に強いのはどちらかというのを!」
荒々しい雷の音が激しくなる。勢いを増したその武器は、もう杖で止められるかどうかは分からない。

いつ死ぬか、殺されるか分からない。不思議と、恐れは抱かなかった。

「酷い話だね。今宵は妖力が強くなる夜…君の方が強いなんて、当たり前じゃないか。負ける勝負を買うほど、あたしはバカじゃない。」

「そう仰る割には楽しそうですが?」

その言葉に思わず苦笑を漏らす。が、一つ大きく深呼吸をして、にやりと笑って衣玖に一つの提案を持ちかけた。

「ねぇ、ゲームしない?」

「ほう、どのような?」

「身体能力の差は歴然。それでも、君があたしを殺すことはできない。」

その言葉を聞いて眉間に皺を寄せる。まあ待ってよと、意外と彼女のノリは軽かった。

「これはあたしが神だから。神は信仰があればいくらでも復活できる。…君は、あたしとの殺し合いを希望としている。でも、それじゃああたしが一方的に勝利条件を持っていて、君にはゼロ。そんなの、不平等でしょ?

だから、こうしよう。君が、あたしの意識を奪えば君の勝ち。奪えなかったら、君の負け。君が勝ったなら、あたしはもう引き下がる。君の好きなようにすればいいさ。でも、あたしが勝ったら、そのときはあたしの好きなようにする。」

杖を、己の得物を構える。

紅の瞳が、紅の瞳を映す。

「…いいでしょう。やることは変わりませんし、」

剣を、彼女もまた構える。

紅の瞳が、鈍く光る。

「もう、何でもいいーー」

ただ、殺りたい。鮮血をまき散らしたい。肉を抉りたい。

ここまで来ると、もう殆ど理性は残っていないのだろう。考えるよりも先に、足が動いた。



「……」

彼女らのやりとりを、ただ静かに雷鼓は見守っていた。

殺し合いだとか、ゲームだとか、今の彼女にとってはただただ恐ろしいことでしかない。

困ったことに、彼女らは月の宴会の踊り手なのだ。紅の月の光を受けて、楽しそうに、ただ楽しそうに遊ぶ。それだけなのだ。

それが、非常に恐ろしかった。いつかどちらかが踊れなくなるのでは、それで済めばいいが、もしもどちらかが舞台を強制的に降ろされたら。自分みたいに、足が折れて踊ることのできない踊り手ならまだいい。しかし、舞台の上の演劇は寸劇なのだ。

止められず、見ていることしかできない。いつしか観客に回された自分。不安定な、奇怪な宴を見つめることしかできない。

「…誰か、止めて……」

小さな悲願。宴の中、唯一の制止の願望。

その悲願は、誰にも届かなかった。

宴は、もう、止まらない。









この話、けぬさん的にはどうなんだろう…