長編小説『蓮華草の贈り物』 4

今日から二日目のスタートゥっ!!
因みに二日目は割りと等分に分かれる。
あと昨日の文章ちょっと訂正!まぁ、女の子の最初の方さんが抜けてたから、そこ直しただけなんだけどねw





次の日。朝早く衣玖はアリスの家に向かった。ただ、あまりにも早かったせいで、まだ早苗は来ていなかった。

ちょうどアリスが起きて、皆の朝食を作っていたところだったらしく、朝ご飯を一緒に食べないかと誘われたので、お言葉に甘えさせてもらった…といっても、天界で食べてきたので、本当に軽食だけだったが。

アリスの料理はとても美味しい。元々彼女は起用で何でもこなす。家事全般はすべて得意らしい。

食べているとレティも起きてきて一緒に食べる。穣子は早くから出かけていったらしく、彼女の姿は見られなかった。

「残念ねぇ、穣子の姿が見れなくて。」

にやにやしながらレティが衣玖の肩に自分の肩で軽くつつく。何のことでしょうとそっけない返事を返すも、その顔は少し紅潮していた。

その様子を微笑ましく見守るアリス。助け船の一つや二つくらい出してほしいものだ。

「…そういえば。衣玖さん昨日早苗と一緒に何か話してたし、朝から彼女待ちなんてどうしたの?」

「もしかして、愛人三号?」

「違いますって…って、何でそんなに数字大きいのですっ!?」

三号もくそも、まず一号も自分にはいないのだが。

「え、だってルナサと穣子が居るじゃない。それで早苗もって…やるわねぇ、プレイボーイ?」

「プレイボーイじゃないですし、そもそも男じゃないですし、ルナサは親友ですし、穣子は友人ですし、早苗はヘンタ…手を借りているだけですっ!」

さりげなく早苗に対しての本音が見えた気がするが、あえて二人はスルー。そしてツッコミごくろうさまと、心の中で労いの言葉をかけてやった。

何というか…面白い。

「とっ…とにかく、探している人がいらっしゃるので、そのお手伝いをしていたたただだだたたたいて

「ちょ、落ち着きなさいって。平然振る舞ってるようだけど全然振る舞えてないわよ。」

これほど分かりやすいのも珍しい。二人にツッコミをいれられ、衣玖の顔は更に赤くなった。

深呼吸をし、いったん心を落ち着かせ、ある女の子を探していることを伝える。もうあのことを話すことにためらいは殆ど無かった。

それを黙って聞く二人。真剣な話だったので、途中に茶々を入れることはしなかった。

「…人間たちの気持ちも分かるかな。つい責めたくなっちゃう、その気持ち。…私も、もし人間だったとして、大事は人がそれで死んじゃったりしたら、多分…衣玖さんのこと、責める立場になっちゃうと思う。お門違いだって、分かっていても。」

「大事な人って…幽香?」

「そうそ…レティっ!!?」

綺麗な不意打ち。ものすごく綺麗に入った。くすくす笑うレティに対し、顔を真っ赤にするアリス。衣玖はそれをただ苦笑して見守っていた。

責める立場に立つのは仕方の無いことだ。それを簡単に割り切り、特に責めたりはしなかった。

と、そこへ。

「あら、もう衣玖さん来てたのね。」

いつの間に来ていたのか、早苗が姿を現す。ゆっくり階段を降りてー…

…あれ、おかしい、ちょっと待て。一つの疑問がある。アリスと衣玖は恐る恐る早苗に尋ねた。

「あのー…早苗?二階から今降りてきたわよね?」

「えぇ、そうだけど?」

「…玄関から、いつお入りになったのですか?」

「窓から入ってきたに決まってるじゃない。」

しれっと答える。何か変なことでもある?と、首を傾げ、階段を降りきった。

いや、いやいやいや。困惑していると、早苗はぽんと手を叩いて、

「あぁ、土足したって?大丈夫よ、ちゃんと靴は脱いで入ったわ。」

「そーじゃなくてぇっ!どーして玄関から入ってこないのよっ!」

ガタンッと勢いよく立ち上がり、椅子が倒れ…る前に、早苗がそれを支える。アリスの返答に対しては、堅いこと気にしないのと手をぶんぶん縦に降る。

それにしても、こんな光景を繰り広げられても流石レティ、全く動じない。顔色一つ変えずにご飯を食べている。

「…で、衣玖さん連れていっても大丈夫よね?」

「え、あの、」

「えぇ、持っていってちょうだい。あんたも大変ねぇ、人間の里に行って諜報活動とはね。」

殆ど食べ終わっていたけれど、まだ少しだけ料理が残っていた。それにも関わらず、早苗は衣玖の手を引いて外へ行ってしまう。それに対してレティは手を振り、アリスはご愁傷様といいたげに合掌した。

「…さてと、ごちそうさま。それじゃ、私もちょっと出てくるわ。」

立ち上がると大きく伸びをし、皿を流し台の方へ持っていく。幽香のところだろうと思い、アリスはどこに行くのかは尋ねなかった。

行ってらっしゃいと、レティに手を振る。彼女もそれに答えるように、長い袖の中で小さく手を振った。




「…それで、なんだけど。」

アリスの家の裏に連れてこられる。雪が積もって寒い朝のため、衣玖は思わず身震いをした。

対する早苗は平気そうにしている。自分よりも薄着なのに、神というだけで寒いという感覚が消える。少し羨ましかった。

そんな怪訝そうな衣玖の目に構わず早苗は話を始める。

「人手がもう一人、二人くらい欲しいのよね。今日もあたしだけで行くけれど…早く成果が欲しいのなら、他の人にも手伝うように言ってくれないかしら。」

これが盗賊の類の仕事や、妖怪退治なら話は別なんだけれどと付け足す。肩を竦めて、やれやれとため息をついた。

聞き込みとなれば当然人が多い方がたくさんの人に聞くことができる分、人手が多いことに越したことはない。有益な情報がいかに早く手に入れることができるか、それは聞く回数を増やすのが最も単純かつ手っとり早い。

「…確かに、早苗さんだけは少し辛いですよね。分かりました、ルナサにも声をかけてきます。」

「…まぁ、ルナサが居て役に立つかって言われたらちょっと疑問だけれど。」

気弱で臆病だから聞き込みには向かないんじゃと、早苗の一言。別にその一言は、ルナサが役に立たないと言うわけではなく、性格上どうしても向いていない、そう言いたかった。

それを衣玖は、自分の友人がバカにされていると勘違いをし、

「大丈夫ですよ!全く…確かに引っ込み思案なところはありますが、彼女はとても力になってくださいます。この前だって

「分ーかった分ーかった、はいはい、連れてきてちょーだいっ。」

ったくこの竜宮の使いはと、思わず苦情をぶつけたくなったがそこは我慢。仲間想いはいいことなのだが、ちょっと行きすぎているところがある。…妖夢や寅丸と比べれば遙かにマシなのだが。あれはただのお人好しの塊だ。

「それじゃ、やることのまとめ。あたしは人間の里に行って、日記かなんか、記録が残っていないかを探して、そこから情報を探してくる。あんたは協力者を数人増やしてきて。いいわね?」

こくりと首を縦に振る。それを見るとにっと笑って、お互いがんばりましょうと、その一言を投げかけ、人間の里の方に向かった。

自分の為では無いのに、彼女は快く引き受けてくれる。彼女のその良心を胸に閉まって、衣玖もその場を離れた。


  ・
  ・

人里につき、足を踏み入れる。昨日と変わらず人間たちの明るい声。その様子に何も変わったことはない。

昨日やたら竜宮の使いのことを聞いたので、何かよからぬ噂の一つくらいたってはいそうだが…どうやら、その心配は無さそうだ。

「…さてと。できれば年輩の人がいいわよね。」

それも、毎日を記録しているようなまめな人間でないといけない。

そもそも、そのような人がこの人里にいるかすらも分からない。あるかどうかも分からない望みにかけて、今からそんな人探しをする。

果たして見つけだすことはできるのか。

こういうものは、どうしても数を当たらないといけない。

「よし、じゃああの人から…ごめんなさい、ちょっといいかしら。」

はじめに声をかけたのは60才前半くらいの結構元気そうなおばあさん。

昔起こったことで気になったことがあり、その情報を探し回っているということを伝え、何か日記みたいなものが残っていないか尋ねる。

どうせ何もないと言われるだろう。あまり期待しないで有無を尋ねた。するとおばあさんは朗らかに笑って、

「よく分かったねぇ、私が毎日日記をつけてるだなんて…」

「……」

一人目で当たりが出た。何という強運。いや、これが彼女の恐ろしい『カン』というものか。

流石に早苗も少し怖くなったらしい。老人に見せてくださいと頼むのに少し時間がかかった。

「おんや、どうしたのかえ?」

「いえ…何でもないわ。」

ただのカンで分かりました、なんて言えるはずがない。よく分かったね、いいえ、自分は何も知らなかったんです。

こほんと一つ咳払いをして、まさしく奇跡の神が起こした奇跡をとりあえず一旦置いておく。起こってしまったのなら仕方がない、後は柔軟に対応するだけ。

とりあえず見せてほしいとそのおばあさんにお願いする。親切なことに、快くそれを承諾してくれ、彼女の家に案内してもらった。

彼女の家は先ほどの場所から10分ほどのところにあった。ただ、おばあさんの足にあわせていたので、早苗だけだと半分ほどの時間でたどり着けるだろう。

急かす理由は無いし、何より自分の方が頼んだのだ、ある程度は向こうに合わせなければいけない。それが道理というものだ。

その途中で、一応竜宮の使いを助けた女の子の話を持ちかける。やはり、分からないと返ってきたが、彼女はあまり嫌悪や憎悪といった感情は持っていなかった。

それを知って、思わず安心したように胸をなで下ろす。もしもそのようなマイナスの感情を持っているのなら、こちらからあまりその話題を振るわけにはいかない。それもあるが、やはり仲間のことを悪く言われるのは不快になるだけだった。

「…さてと、お入り。地下にあるよ。」

たどり着くと、驚くことに玄関の扉は開かれていた。普段からそうしているのか、彼女はいつものことのように振る舞う。

まず早苗は扉の入り口を調べる。それはもう、盗賊が忍びはいるときのごとく。

「…何しているのかえ?」

「…職業病です。」

無防備に開いていたからつい、とは言えず。

普段何しているんだとツッコミが入りそうな一言。彼女ははあ、と目をぱちくりさせるだけだったが。

中にはいると、一室だけの小さな家だった。特に変わったところもなく、出入り口と窓も一つだけ。しかし、部屋の奥隅にはベニヤ板で隠された…いや、隠してはいないのだが。地下へと続く階段があった。

そこを蝋燭に火を灯してゆっくりと、一段一段降りていく。想ったより湿ったカビ臭い臭いがしない。ちゃんと手入れされている証拠だろう。

最下層にたどり着き、おばあさんに日記を探してもらう。それを地下室の入り口付近で早苗はじっと見つめていた。

多少夜目が聞くので何が置かれているかは何となく分かる。見たところ本や昔使われていただろう農具がたくさんあった。どれもちゃんと保管されていて、たびたび掃除しているのだろう、蜘蛛の糸もほとんど付いていない。

「…おんやあ?」

しばらくして、不思議そうな声が聞こえる。何度も指を同じところを行ったり来たりさせて首を傾げていた。

「どうしたのかしら?」

「ないんだよ、お前さんの求めている年の日記だけが。」

ちゃんとあるはずなんだがねぇと一言。早苗も一緒になって探したが、やはりその一冊だけが見つからない。

背表紙にはちゃんと読める文字で年号が書かれており、欠けることなく順番に上から下へずらりと並んでいる。欠陥が起きるような乱雑な手入れは全くされている様子が無いだけに、何となく不自然さが残った。

「…本当にあったのかしら?」

「あったよ?ちゃーんと毎年、忘れることなく書いていたはず…」

はて、その年に何か特別なことがあったかと思いだそうとするが、何にせよ人間にとっては結構前のことだ。やはり思い出せず、申し訳なさそうにする。

「…すまないねぇ、力になれなくて…」

「いいえ、ありがとう。…それに、その年だけ見つからないっていうのも、何かヒントになることだってあるわ。だから、完全なる無駄足じゃないわ。」

一礼をして、一言お礼を言う。せっかく家に来たんだし、何も力になれずに申し訳ない、代わりにお茶でも一杯どうかと訪ねられる。

好意は嬉しかったが、何にせよもう少し情報が欲しい。控えめにそれを断ると、また次の人に尋ねるためにその家を出た。







早苗はギャグ発言もシリアス発言も出来るから書いてて楽しい。流石万能巫女。




コメ返。
<キバりん
だろっ!だろっ!!あの女の子の可愛さ以上だろ!!りゅーぐーのおつかいさん可愛いだろっ!!!?
純粋で幼い女の子をイメージして書いたらめっさ可愛くなったw

二日目はね、皆大好きあの子が出てくるよっ!勿論出番はちょっとだけだけどなっ!
…ほんっと、何で皆あの子好きなんだろ。あ、明日出てくるよー。
けーねさんはもちょっと待ってね!でもそれは分かるbつらねんとことかでみのりんとか衣玖さんとか、ていうか好きキャラ出てたらテンション上がるしねw

衣玖さんが唯一アホキャラになる瞬間だからなーw…成り茶でついた設定ってのはわかってるんだけど、何でこんなデレデレになるくらい好きっていう設定が付いちゃったんだか。